環境に貢献し、選ばれる会社に
三機工業株式会社 代表取締役社長
石田博一
三機工業と南極の接点が最初に生まれたのは、日本の南極観測事業が始まったのと同じ1957年。第二次観測隊に資材搬入用のローラーコンベアを納入したことがきっかけだという。その後1991年の「環境保護に関する南極条約議定書」締結を機に、環境の専門家を現地に派遣したいと考えていた国立極地研究所に対して、当時の経営陣が協力を約束。石田社長はその時の会社の空気をよく覚えているという。
「当時は何事にも慎重すぎるほど慎重な会社でしたが、その時の意思決定は非常に早かったようです。当社の創業3年目、1928年に発行された社内報の創刊号を見ると、社会に貢献することが我々の仕事であり、天に地に人に感謝しなければならないと書いてあります。昔からそんな意識を持ち続けてきたことが、南極観測という話と自然に結びついたのでしょうね」
ちょうど地球環境問題が一般にも意識されるようになり、「環境元年」とも呼ばれた頃。だがそれよりもずっと前から三機工業は「エンジニアリングをつうじて快適環境を創造する」を推進していた。
「当社の水処理事業は下水処理場など大きな施設の設備が中心ですので、南極基地のように小さなコミュニティを支えるシステムを考えることは、むしろ新たな挑戦でした。近年ではコンテナ型のコンパクトな設備で、設置してすぐに使えるような工夫もされています。南極での経験が当社の事業に直結するわけではないですが、自分たちの技術でこれまでにないものを造ろうというモチベーションや人材の育成に大いに役立っていると思います」
現在62次隊に参加中の1人を含め、これまでに南極に派遣された社員は16人。社内第一号の梅沢昭仁さんが出発する際には会社としてもすべてが手探りだったが、現在は経験者が増えたことに加え、送り出し・迎え入れる側の体制も確立され、社内公募の際には毎回多くの社員が手を挙げるという。
「近ごろは昔に比べて大人しい若者が増えたともいわれますが、幸い当社ではそういうことはあまり感じません。意欲ある若者が南極をめざし、それをみんなで応援するというのが三機工業の文化になっていますし、社内の良き相談役として彼らを支えてくれる南極観測隊経験者の存在も当社の貴重な財産です」
近年はSDGsの目標達成に取り組む国や企業が増え、日本政府も2050年までにカーボンニュートラルを実現すると表明するなど、環境への取り組みはますます重要度を増している。三機工業では、建築・プラント設備など総合エンジニアリングを通じて世の中に展開している事業そのものが環境課題の解決に貢献することに加え、CO2削減につながる独自の取り組み「SANKI YOUエコ貢献ポイント制度」も昨年10周年を迎えた。
「当制度は三機工業からお客様に対してCO2削減につながる施設の省エネ提案を行い、採用していただいた場合にその削減量をポイントに換算したうえ、相当額を植林などの環境保全活動に寄付する活動です。私たちの究極の目標は『快適環境の創造』ですので、その意味ではカーボンニュートラルもひとつの通過点ではありますが、まずはその達成のために可能な限りの貢献をしたい。そして社会から選ばれる企業でありたいと思います」

選ばれる企業であるためにもうひとつ力を入れる取り組みに働き方改革がある。今年に入ってからは、若手を中心に6、7人の社員と石田社長が直接対話する機会を十数回設け、働き方についても意見交換をした。
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の意識は、ベテラン社員よりも若手社員の方が浸透していると感じます。仕事の生産性を向上させることで、自己研鑽(けんさん)や家族と過ごすための時間を確保してほしい。そして管理職には「休ませる勇気」を意識してほしいとも思います。南極では専門に関わらず様々な場面での協業が多いと聞きます。個人では解決し難い建設業の働き方改革も各種制度の推進や社員同士の協業を通して実現したいと思います」
新型コロナはまだ三機工業の業績にそれほど大きな影響を与えていないものの、世の中の状況は今後ますます厳しさを増していくかもしれない。これからの時代に石田社長が三機工業で一緒に働きたいと考えるのは、どのような人材なのだろう。
「三機工業は努力する人を応援します。部門、職種ごとにさまざまな研修制度やジョブローテーションなどの制度を設け、みなさんが最大限に能力を発揮できる環境を用意していますので、ぜひ意欲ある若い人が当社の扉をたたいてくださることを願っています。南極に行ってみたいという人も大歓迎です。当社ではこれまで女性の南極観測隊への参加希望者はいませんでしたが、手を挙げてくれる人がいれば男女同じ基準で選考します。自分が女性第一号になるんだという積極的な女性にも来ていただけたらうれしいですね」


