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朝日新聞大阪本社 高大接続特別プロジェクト SDGs教室

貧困と気候変動に立ち向かう 新しい農法への挑戦

近畿大学農学部 飯嶋 盛雄教授

近畿大学農学部は、現代社会が抱える「食料」「環境」「生命」「健康」「エネルギー」の諸問題にアプローチし、SDGsの達成に貢献する教育研究を展開している。2019年6月1日、SDGsから考える農学の可能性を大阪府立千里高校の生徒に向け発信する「SDGs教室」を実施した。
「日本は世界中から富を集めてきました。これからはその富を、世界の環境保全や貧困撲滅のために使うべき」と切り出したのは農学部の飯嶋盛雄教授。気候変動の影響から雨季と乾季で水位が激しく変動し、食料不足に陥ることが多いナミビアで、常に一定の穀物生産ができるような農法の考案に挑んだ経験を、生徒たちに語りかけた。現地の主食であるヒエの一種と、現地では栽培の習慣がなかったイネを混作することで、洪水や干ばつの年でも安定的な収穫が見込める仕組みを提案し、小規模零細農家を支援した取り組みに、生徒たちは目を輝かせて聞き入っていた。「世界の食料生産額の8割以上を生み出しているのは家族農業であり、厳しい条件のもとで農業を行っている小規模零細農家の人たちもこれに含まれます。彼らを支援し、食料を安定確保してもらうことは、すべての飢餓に終止符を打つことにもつながります」。「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「気候変動に具体的な対策を」というSDGs目標達成に貢献しようとする飯嶋教授の研究フィールドをより深く知ろうと、生徒からは活発な質問が寄せられた。

また生徒たちは、SDGsの「誰1人取り残さない」という理念のもと、貧困や教育、格差など世界が直面する17目標の達成までを疑似体験できるカードゲーム「2030 SDGs」にも挑戦。自分たちの行動しだいで世界の「経済」「環境」「社会」の状況が刻々と変化する様子を体感し、SDGsのめざすものをより深く知る時間となった。

参加した生徒の感想

田中 千都さん(2年生)

熱帯雨林の伐採が行われ、世界的に耕地は増えていると思っていましたが、今日の飯嶋先生の講演を聞き、実は減少傾向にあると初めて知りました。SDGsは自分の身のまわりにもたくさん存在すると、講演やゲームを通して気付きました。目標の一つ「つくる責任 つかう責任」にもありますが、食べ残しを減らすなど、今日から自分の行動も変えていきたいです。

瀧野 花菜さん(2年生)

「経済」「環境」「社会」をバランスよく発展させるべきとわかっていながらも、一つひとつのプロジェクトを達成するにはお金も時間もかかること、またその均衡が保てないもどかしさを、ゲームを通じて感じました。SDGsの達成目標はたくさんありますが、自分で心がけるだけではなく、他の国の人だったらどうするだろう?と想像しながら行動していきたいと思います。

いいじま・もりお/近畿大学農学部教授。名古屋大学農学部卒業。同大学院農学研究科修了、博士(農学)。同大学大学院生命農学研究科助教授を経て、2008年より現職。洪水や干ばつに対応する穀物栽培システムや、ダイズの根粒着生を制御する技術開発に取り組む。