身近な藻類をクリーンなジェット燃料に ミドリムシで空を飛べる日も近い!?
近畿大学農学部 田茂井 政宏教授

近畿大学農学部は、現代社会が抱える「食料」「環境」「生命」「健康」「エネルギー」の諸問題にアプローチし、SDGsの達成に貢献する教育研究を展開している。2019年6月4日、SDGsから考える農学の可能性を奈良県立奈良北高校の生徒に向け発信する「SDGs教室」を実施した。

「原油はあと56年で掘り尽くされるといわれています。エネルギーが足りなくなる日が近い今、皆さんなら何ができますか?」との問題提起から始まった、田茂井政宏教授の講演。人類が抱えるエネルギー問題という喫緊の課題に対し、田茂井教授は「ミドリムシ」が持つ可能性から、その解決法を導き出そうとしている。ワックスエステルという脂質を体内に蓄積する習性を持つミドリムシ。ミドリムシから絞り出したワックスエステルは、ジェット燃料として利用できることから、その実用化のための研究を続けている。「ミドリムシをたくさん培養して、たくさんのワックスエステルを生産させる。ミドリムシ由来のバイオ燃料で飛ぶジェット機に乗り、海外旅行に行ける日も近いでしょう」。高校の授業とはまた違うスケールの大きな話題は、あっという間に生徒たちの心をつかんだ。
現在は、ミドリムシにより多くのワックスエステルを蓄積させ、いかに効率よく抽出できるかに重点を置いた研究にいそしむ。SDGs目標の一つである「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に直結する田茂井教授の大きな志は、生徒たちの心に深く刻まれた。
また生徒たちは、SDGsの「誰1人取り残さない」という理念のもと、貧困や教育、格差など世界が直面する17目標の達成までを疑似体験できるカードゲーム「2030 SDGs」にも挑戦。自分たちの行動しだいで世界の「経済」「環境」「社会」の状況が刻々と変化する様子を体感し、SDGsの目指すものをより深く知る時間となった。
現在は、ミドリムシにより多くのワックスエステルを蓄積させ、いかに効率よく抽出できるかに重点を置いた研究にいそしむ。SDGs目標の一つである「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に直結する田茂井教授の大きな志は、生徒たちの心に深く刻まれた。
また生徒たちは、SDGsの「誰1人取り残さない」という理念のもと、貧困や教育、格差など世界が直面する17目標の達成までを疑似体験できるカードゲーム「2030 SDGs」にも挑戦。自分たちの行動しだいで世界の「経済」「環境」「社会」の状況が刻々と変化する様子を体感し、SDGsの目指すものをより深く知る時間となった。

参加した生徒の感想
新垣 優音さん(2年生)
田茂井先生の講演から、大学の学びの専門性と規模の大きさを感じました。「大学の学びって面白い!」と素直に感じることができ、今後の進路を考える上でのモチベーションになりました。カードゲームでは、「経済」「環境」「社会」のバランスを保って世界が発展できるように心掛け、SDGsと世界とのかかわりを、身をもって知ることができました。
山本 悠太さん(2年生)
水田や川にいるような身近なものに可能性を見いだし、飛行機をローコストに、かつ環境にもやさしく飛ばせることは驚きであり、自分の好奇心に従って好きなものを究められる大学の学びは魅力的に感じました。僕も周りにある可能性に着目し、今後の大学生活で生かせるよう、物事を見る視野を広く持ちたいとこの講演を聞いて思いました。

たもい・まさひろ/近畿大学農学部教授。近畿大学農学部食品栄養学科卒業。同大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)。日本学術振興会特別研究員、奈良先端科学技術大学院大学ポスドク、近畿大学農学部助手、講師、准教授を経て、2018年より現職。植物や微細藻類の光合成炭素代謝制御機構の解明および遺伝子組換え植物を利用した有用作物(藻類)の作出を行ってきた。