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朝日新聞大阪本社 高大接続特別プロジェクト SDGs教室

持続可能な“まちづくり” 人のつながりが未来を築く

大阪経済大学経済学部 梅村 仁教授

大学と高校が連携し、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」について理解を深める朝日新聞大阪本社のプロジェクト「SDGs教室」が6月13日(木)、東大阪市の大阪府立花園高等学校で開かれた。大阪経済大学経済学部の梅村仁教授が「SDGsとまちづくり:都市と地方をつなぐパイプづくり」をテーマに授業し、2年・3年の生徒42人が聞き入った。
グローバルな時代だからこそ、実際に自分の目で見て、確かめ、考えることがとても重要と、学生らとともにフィールドワークを国内外で重ねる梅村教授。まず授業の冒頭では、2012年ロンドン五輪の会場が地域の貧困対策や職業訓練を考慮して建設された事例にふれ、「SDGsでもうたわれている地域の持続可能な発展のためには、まちづくりの思想がとても大切ではないでしょうか」と生徒に語りかけた。

続いて、自身が6年前から関わっている徳島県神山町の話題に。人口約5100人の神山町は、豊かな自然と、光ファイバーなどのインターネット環境を早期に整備したことなどが支持され、東京のIT企業などが古民家をサテライトオフィスに改装して続々と進出。移住者が増え、ベーカリーやレストランなども次々と開業し、まちに賑わいが生まれている事例を紹介した。スライドを使い、身振り手振りを交えての授業に生徒も興味津々。「都会と田舎、どちらで暮らすのが幸せだと思う?」など、質問やジョークも飛び出し、生徒は身を乗り出して授業に参加していた。梅村教授は「これからは『どこで、誰と、どのように働くか』が問われる時代。まちづくりを通じて、さまざまな人との良いつながりを築くことが重要です」と締めた。

梅村教授の授業に先立ち、生徒は世界が直面する17目標の道程を疑似体験できるカードゲーム「2030 SDGs」にも挑戦した。時間、お金、プロジェクトなどのカードを使い、経済、環境、社会の3項目で作られた世界の状況メーターを動かすゲームで、メーターが増減するたびに生徒たちは歓声を上げていた。講師の愛知学院大学商学部の中野健秀准教授は「皆さんが大学生や社会人になった後も、世界の動向に注目し続けてください」と話した。

参加した生徒の感想

丸石 育実さん(3年生)

私は将来、起業したいと思っているので、徳島の事例はとても勉強になり、現地にも行ってみたいと思いました。自分が人と関わりながら働いているイメージも湧きました。

山田 翔也さん(3年生)

大学は心理学部を考えていましたが、SDGsを学んで、これからは環境に関する研究も大切なんだと感じました。何を学べるかをしっかり調べて、進路を考えたいと思いました。

寺脇 実希子さん(3年生)

高校での授業は教科書に沿って進むことが多いので、教科書以外にトークやスライドを使って進む授業はとても新鮮でわかりやすかった。大学の雰囲気が体験できました。

後藤 萌さん(3年生)

環境など世界の課題を通じて、他の人がどんな考えを持っているか学べたのが良かった。SDGsの理念をしっかりと持って、世界で活躍できる人材になりたいです。

うめむら・ひとし/大阪経済大学経済学部教授。尼崎市役所勤務を経て、地域政策の研究の道を歩んできた異色の経歴の研究者。“まちづくり的手法”による自治体の産業振興を提唱している。教育分野では、学生が地域振興の現場の方々へ実際に会って話を聞くことを重視、地域政策の現場とつながる学びを大切にしている。著書に『自治体産業政策の新展開』(ミネルヴァ書房)などがある。