
「理論と実践の融合」を掲げる経営学部の森本祥一ゼミが、新潟県の限界集落の活性化に奮闘した。その2年間の活動記録を、『大学生、限界集落へ行く』(本体1500円+税=写真)にまとめた。ゼミ生(卒業生も含む)9人が執筆を担当した。

南魚沼市の中山間地域にある辻又は15世帯43人(2015年5月現在)。住人の半数以上が65歳以上で、限界集落と呼ばれ、地域内の活動の担い手が不足している。
森本ゼミと辻又集落との出会いは、森本准教授が14年度に新潟県から「大学生の力を活かした集落活性化事業」の調査・研究を受託したこと。ゼミ生は同年8月から現地調査を実施、住民にインタビューし、話し合いを重ねた結果、特産であるコメ、辻又産コシヒカリを売り込むブランド戦略を打ち出す。
横浜市のマルシェ(青空市場)に出店してコメを販売。コメを使った加工品ライスミルクや、辻又に自生するミョウガを使ってたまり漬けおにぎりを考案するなど、次々と実践していった。
本書は活動記録、学生と住民との間に育まれた世代や地域を超えた交流がつづられるとともに、情報システム学の視点から地域活性化を探るなど学術面にも切り口を広げた。現地での写真がふんだんにちりばめられ、「おにぎりレシピ」数種も掲載している。

15年からゼミ活動に参加している小平美希さん(経営4)は「先輩から受け継がれた辻又での記録を、このような形で残せた。喜びを感じている」。森本准教授は「地域活性化に興味をもつ学生や、限界集落の問題に悩んでいる自治体、住民の方々にぜひ読んでいただきたい」と語る。
新潟県からの受託事業は14年度1年間で終了したが、ゼミ生たちの活動は現在も続いており、16年度に再度受託事業となった。「休耕田や古民家の活用法を集落の住民とともに考えるワークショップも企画している」(森本准教授)と新たなアイデアも打ち出した。
専修大学出版局刊。学生の出版企画・執筆による書籍の刊行は、『学生が実現した展示会-ボクらのコウサ展ものがたり』(2006年)、『ケータイ世代が「軍事郵便」を読む』(09年)に次いで3冊目。
(2016年9月掲載)