特徴ある教育・就職特集 vol.5 OBや地元事業者が課題提示学生とともに課題策考える 特殊講義「ビジネス・インサイトⅠ」 八海醸造の中俣氏の講義では、若者のアルコール離れにも話が及んだ

商学部創立50周年を記念した特殊講義「ビジネス・インサイトⅠ」(担当・神原理教授)が後期からスタートした。商学部の卒業生や地域の事業者によるリレー講義と、その内容を掘り下げて考察するワークショップを交互に展開。学生は、外部講師をうならせる実践的な解決策(ビジネスプラン)の提示という最終ゴールを目指す。課題の本質にどこまで切り込めるか、学生と外部講師の真剣勝負が続いている。

舗装道路の構造を説明する東亜道路工業の青木氏 八海醸造の中俣氏の講義では、若者の
アルコール離れにも話が及んだ

10月28日の講師は、東亜道路工業の企画営業本部環境部長、青木和直氏(昭57商)。道路舗装を行う建設会社で、アスファルト乳剤の製造・販売では国内最大手という企業の立場から、国内外で建設業の果たす役割や長期ビジョンについて語った。高い技術力を背景にしたブラジルや東南アジア諸国での事業経験、電気自動車の普及に伴う道路交通網の将来、政府の財政難や人口減少・少子高齢化社会におけるインフラ(道路や上下水道などの社会資本)整備やコンパクトシティー(集約都市)構想など、青木氏の挙げた課題は多岐にわたる。

「自分とは全く関係のない業界の話だと思っていたら、地方再生や少子高齢化ともかかわると知り驚きました」と田中美咲さん(3年次)は話す。外部講師の講義を聞いた翌週は、ワークショップで浮かび上がった課題を整理し考察する。田中さんは「ゼミで商店街の活性化に取り組んでいるので、シンクロさせて話ができると思います」と笑顔を見せた。

インサイトは「洞察力」。指導する神原教授は「大先輩の経験談を『自分のこと』のように受け止めながらも、多様な視点から課題を分析し、解決策につながる本質的な知見を引き出していけるような力(洞察力)を身につけてほしい」と授業のねらいを語る。

9月23日の開講後、青木氏のほか▽「南部どり」など鶏肉商品の製造・販売会社アマタケ会長、甘竹秀雄氏(昭33商経)▽銘酒「八海山」の蔵元である八海醸造執行役員の中俣善也氏(平4商)▽食品・青果卸のエムワイフーズ社長、星野衛氏(昭46商)の諸氏がすでに講演。11月25日には5人目となる東京九段会計事務所代表社長の瀧本和男氏(昭53商)が講義を行う。

「外部講師を納得させるビジネスプランの作成」を受講の心構えとしたため、受講者は20人程度にとどまったが、「企業の現状や抱えている課題を当事者から直接聞いて、一緒に打開策を考えられる。面白くて有意義な授業です」(佐々木泰地さん、3年次)と学生は意欲的。日本酒を取り巻く環境の変化と、地元の新潟・魚沼の食文化を通じてブランドイメージを高める戦略を語った中俣氏も「授業への関心が高く熱心」と熱意を認める。

学生はワークショップでの考察を重ね、知見を整理。それぞれが解決を目指すテーマを選び、約2カ月かけて企画書にまとめる。プレゼンテーションと審査は、講師を招いて来年1月20日に開催。優秀作は来年度前期に開講する「ビジネス・インサイトⅡ」での優秀作と合わせ、50周年記念式典で披露される。

(2014年12月掲載)