特徴ある教育・就職特集 vol.6 4チーム奮闘の軌跡 課題解決型インターンシップ 東京染小紋の工房では「型付け」の工程も体験した

キャリアデザインセンターが主催する「課題解決型インターンシップ2014」で、学生たちは地域の企業や自治体、商店街などが抱える課題の解決に取り組んだ。16プロジェクトに179人が参加。試行錯誤を繰り返しながらチームワークを発揮し、どんな解決策を提案したのか。4チームの8カ月にわたる奮闘の軌跡を紹介する。

たま区発 謎時!! クイズラリーを展開


たまくん(右)
魔王(左)にふんする学生

多摩区内を巡って謎を解き、魔王を倒す――竹川征樹さん(文2)をリーダーとする26人は「たま区発! 謎時?」と題したリアル謎解きゲームを行い、大好評を得た。

「たまたま子育てまつり」(9月21日)で行われた第1弾「魔王とキミと予言の書」は多摩区総合庁舎~登戸駅周辺が舞台で、子供同士や親子など約500人が参加。10月25日から11月24日まで行われた第2弾「魔王とキミと不可思議の種」は、登戸・稲田堤・生田の3エリアを巡るもので、用意した500冊のゲームブックがなくなり、急きょ増刷するほどで「予想以上の反響でした」と竹川さん。

参加者からも「いろいろな道を歩いて謎を解くのは面白い」「子供と一緒に楽しめた」などの感想が寄せられた。

チームが取り組んだ課題は「地域資源を活かしたリアル謎解きゲーム企画と地域情報発信」(多摩区役所)。ゲーム企画と、地域情報誌「多摩すたいる」の制作を行った。

活動の第一歩は街歩き。多摩区内をくまなく歩き、どんなゲームができるかを検討した。竹川さんは「謎やゲームを作るまでが一番大変でした」と話す。街歩きを繰り返すうちに、地元商店街の魅力を発見してもらうことをテーマに設定した。「ゲームブックやホームページ上に店舗情報を掲載しました。お店の方から『お客が増えた。ありがとう』といった言葉もいただきました」。


多くの親子らが参加した第1弾の様子

鳳祭では教室展示も開催。街歩きで得た情報を掲示したほか、"謎"も用意し、来場者に「謎時」の雰囲気を味わってもらった。

「たまくん」「魔王」などの魅力的なキャラクターもメンバーの作品。竹川さんは「イラストの得意な人、謎やゲームを考えるのが得意な人、それぞれが持ち味を生かしました」と振り返った。

東京七宝、東京染小紋、江戸刺繍 伝統工芸の魅力に触れて


東京染小紋の工房では「型付け」の工程も体験した

ファッションブランド「BANLEE」(バンリー)の課題は、伝統工芸をいかしたカジュアルな商品を企画しデザインすること。5学部から集まった1~3年次生12人は3班に分かれ、伝統工芸にはどんなものがあるのか調べることから始めた。

チーム内で各自のアイデアを議論し、全体討論を経て絞り込まれたのは東京七宝、東京染小紋、江戸刺繍(ししゅう)の3つ。実際にその伝統技術を使って魅力ある商品になるのか、それぞれの伝統工芸の工房を訪ね、作業の一部を体験しながらイメージを膨らませた。

「江戸刺繍入りスポーツウエアを企画したが、洗濯はできないと言われ諦めた」(佐々木貴寛さん・商3)、「高価な東京染小紋も少量ずつ使えば価格を抑えられる。手染めの和柄アクセサリーは希少で人気が出るのでは」(松井春菜さん・文2)―。

100以上の商品案を学生にアンケートして残ったのはネクタイピン(東京七宝)、ピアス(東京染小紋)、ブレスレット(江戸刺繍)。12月の最終発表会ではネクタイピンとピアスの見本が披露され、2500円前後での販売が提案された。


完成した見本

発想法やマーケティングを助言したBANLEE代表取締役の角田知弘さんは「よくここまで成長したと思う。期待以上の出来です」と評価。見本の完成度を高め受注生産できる態勢を整えた上で、1月24日の同社イベントに展示することが決まった。

学生は、特別講師としてスポーツ・マネジメント会社の女性創業者や、グッチとコラボレーションを果たした甲州印伝の「印傳(いんでん)屋」専務から話を聞く機会も得た。古海美世子さん(経営3)は「伝統工芸の世界にふれ、商品開発の流れを体験できたことは大きな財産。行動に移すことの大切さを学びました」と充実した顔を見せた。

商店街を楽しくにぎやかに 四季折々のイベント


昨年2月に行われた餅つき

長沢商店会(川崎市多摩区)の交流スペース「長沢ひろば」を足場に、四季折々のイベントを企画・運営し、成功させるのがテーマ。経済学部・徳田ゼミで07年から続く「長沢活動」は今年度、徳田賢二教授が中期在外研究で不在のため、犬塚裕雅非常勤講師の指導のもとで行われた。

中心メンバーは沼田拓郎さんら2年次ゼミ生13人。七夕に飾る笹の切り出し、納涼祭への出店、秋の餅つき、ハロウィーンやクリスマスのイベントなど、代々のゼミ生が商店会の人たちと作り上げてきた催しに毎年、独自のアレンジを加える。ハロウィーンでは、事前に参加する子どもを募集し「仮装ラリー」を実施。店舗を回ると仮装が完成する趣向に変え、人気を博した。

恒例のクリスマス・イルミネーションは、学生が土台となる6基のツリーを発泡スチロールやペットボトルで作り、地域の小中高6校の児童・生徒に飾り物作りを依頼。小学生には学生が生田緑地で拾ったドングリと松ぼっくりを、中高生にはステンドグラスのように光る素材を届け、カラフルなイルミネーションを完成させた。


完成したイルミネーション

今回は12月6日の点灯式から25日まで、夜間もライトアップされた。見事な出来栄えのツリーの前で写真を撮る人も多く、商店街のにぎわいづくりにひと役買った。「学校の協力が得られるのも、先輩たちが築いた信頼関係のおかげ。『失敗を恐れず、どんどんやりたいことに挑戦して』と後押ししてくれる商店会の皆さんのためにも、もっと工夫して売り上げを伸ばし地域に還元したい」と岡野希春さん(2年次)は話す。

生田高校の生徒として徳田ゼミの活動にかかわった経験のある1年次生が、間もなくゼミに加入する。本田沙也佳さん(3年次)は「私たちの活動を認めてくれてうれしい。違った視点で活動を支えてくれるのでは」と期待している。

持ち歩きたくなるブックカバー 販促グッズ作りに工夫


ブックカバーを手にする佃井さん

佃井亮太さん(文1)をリーダーとする12人は、北野書店(本社・川崎市)からの課題「持って歩きたくなるブックカバーの提案~販売促進のためのグッズ製作~」に取り組んだ。

「地域密着をコンセプトに多くのアイデアを考えました」と佃井さん。課題のブックカバーに加えフリーペーパーの作成やマスコットキャラクターの公募を行い、10月には「read&play 本で遊ぼう」をテーマに「専修大学生フェア」を同書店本店(川崎市幸区)で2週間にわたって開催した。

フェアでは、メンバーおすすめの本や文具を紹介する特設コーナーを設置。おすすめ本の購入者にはメーン課題であったブックカバー(本店のあるJR鹿島田駅周辺を中心に、武蔵小杉から生田キャンパスまでのパノラマ風景をデザインしたもの)を配布した。

特設コーナーのレイアウトを担当した服部克志さん(文1)は「本の内容を簡単に紹介したメモを付けたり、文具を関連付けて配置するなどのちょっとした工夫が、売り上げにつながることが分かりました」と成果を話した。


本店で行われたビブリオバトル

また、本のプレゼン大会「ミニビブリオバトル」も実施。本学と明治大学の学生6人が、お気に入りの1冊を持ち寄り、来場者に本の魅力を伝えた。佃井さんは「お客さんに参加してもらったり、見てもらったりできる店内イベントを行いました」。

同書店代表取締役の北野嘉信さんは「学生たちの若い発想を聞き、気づかされた部分もある」と話し、「お客さんにアンケート調査を行うなど、担当した社員と一緒になって店を盛り上げてくれた」と学生たちの頑張りをたたえた。

(2015年1月掲載)