われら専修人 目標は、オリンピックの金メダル。願いは、ハーフパイプ(HP)の普及。夢は、子どもたちの育成・支援。 小野塚彩那 プロスキーヤー

2014年2月のソチ五輪(ロシア)で、メダル獲得の期待が高まっている小野塚彩那さん。
オリンピックを機に、日本ではあまり知られていないハーフパイプ(HP)を広めたい、次の世代を担う子どもたちを育成したいなど、さまざまなお話をうかがった。

在学中は学業と両立させ、卒業後はプロに。

Photo HIROYUKI SATO/SATTON PRESS 2013
2013年3月のスペイン・シエラネバダ大会W杯最終戦で。2013シーズンハーフパイプ種目別3位のメダルを掲げ、笑顔で世界の選手と表彰台に立つ小野塚選手。写真協力/佐藤浩之(日本スキー写真家協会会員)

 プロとして活動していますが、「プロスキーヤーになりたい!」というより、「なっていた」というほうが正しいと思います。学生の頃は、まず学業優先で、その合間をぬって大会に出場したり、雑誌などの取材を受けたり……、スキーを通して大人の方たちと仕事をしていました。卒業後もそのまま続け、あまり意識せず自然とプロスキーヤーになったという感じです。

 「スキーをやってて良かった」と思うのは、仕事に結びつく、つかないにかかわらず、選手や大会関係者など、いろいろな方とお会いできる点です。そうした人と人とのつながりは日本全国だけではなく、海外にも広がっています。帰国後もメールのやりとりを続けている方も多数います。もちろん、英語のやりとりですので、英語の勉強にもなります。相手の方から返信がきますので、私の英語でも通じていると思います。

ソチ五輪に向けて、海外でトレーニング。

Photo HIROYUKI SATO/SATTON PRESS 2013
2013年3月、ノルウエー・オスロでのフリースタイル世界選手権ハーフパイプ(本号表紙の演技シーン)で見事、銅メダルを獲得。

 ソチ五輪が近づいていますが、プレッシャーとか緊張感はないですね。いままでも大きな大会に出て、緊張感が「好奇心」に変わってワクワクすることはありましたが……。ソチ五輪の目標は、もちろん一番いいメダルです。私がやっている競技、ハーフパイプは日本でほとんど知られていません。だからこそ、メダルを取りたいという気持ちがあります。

 いままでスキー競技ではジャンプは別にして、日本人はあまりメダルを獲得していません。私がメダルを獲得することで、どんな競技か日本の多くの人たちに知ってもらい、広まっていく良いきっかけになればと考えています。

 ソチ五輪に向け陸上トレーニング、そして7月末から海外でのトレーニングに行きます。夏の日本とは逆に、いま冬の南半球のニュージーランド、アメリカでも標高が高く雪が残っている場所などです。

スノーボードのマインドで、ハーフパイプ。

 スノーボードという競技を、ご存知の方も多いかと思います。前回のバンクーバー五輪(2010年)でも人気で、ハーフパイプは「スノーボードのスキー版」とも言える競技です。また、「エクストリームスポーツ(X Games)」の一つであり、アメリカが本場です。海外では一般の人もお祭り騒ぎになるほどX Gamesは人気で、ケーブルテレビのスポーツ番組でいつも放映されています。

 ハーフパイプはフリースタイルなので、この技をやったから何点という決まりごとはありません。選手一人ひとりの滑り方をはじめ回転数、高さ、見せ方など、100点満点方式で採点されます。回転数が多くても高さがないと評価されませんし、逆に回転数が多くなくても高さがあれば点数が高くなります。スキーのハーフパイプが冬季オリンピックの正式種目に決定したのは、2014年のソチ五輪からです。

 私はもともと、アルペンスキーや基礎スキーの大会に出場していました。オリンピックが狙える! また、それまで日本国内で戦っていて、世界に飛躍できるチャンス!と思い、2年前に転向しました。世界でも負けない! という自信もあります。

 私の場合、アルペンスキーなどの経験からスキーの基本ができていますし、スキー操作がしっかりできるという自信があります。さらに、他の選手よりも高さを出せるので、高い位置で演技することができます。そのほうが得点も高くなります。

 また、普通のスキーヤーと私は、感覚が違う点があるように思います。スノーボードのマインドを持って、フリースキーに転向したという経緯があるからだと思います。スノーボードはまったく滑れませんが、スノーボーダーと一緒に滑ったり、生活することで、生活スタイルや技の見せ方などを学びました。そうした点も、プラスになっていると思います。

 母校を代表してソチ五輪に出場しますので、ぜひ皆さんも応援してください。

子どもたちに、未来の夢を託す。

 スキーヤーとして、やらなければいけないこと、やるべきことは、次につなげていくことだと、私は思っています。ハーフパイプというスポーツが、日本ではまだまだ認知されていない状況ですが、その魅力を子どもたちに伝えていきたい。

 いまも育成を少しずつ始めており、オリンピックが終わったとき、自分が見てきたこと、キャリアなどを、できる限り伝えていきたいと思います。

 それと、目標を達成したら海外へ行きたいですね。山がないところに、スキーを持たずに。そうしたオンとオフを切り替える時間を、ソチ五輪が終わったら、もう少し長い期間とりたいと思っています。

 後輩の皆さん、校友の皆さんへのメッセージとしては、「自分がやりたいことを、思う存分やってほしい。何かに縛られることなく、また、間違った方向に行きさえしなければ、必ずうまくいく」。そう信じてください。(談)

(7月18日 神田キャンパスにて)

●[ブログ]小野塚彩那 love snow☆love mountain
●小野塚彩那 オフィシャルサポーターズクラブ

おのづか あやな●2010(平成22)年、商学部マーケティング学科卒業。1988年生まれ。新潟県出身。卒業後、プロスキーヤーに。ソチ冬季五輪フリースタイルスキーのハーフパイプ(HP)選手。石打丸山スキークラブ所属。好きなスポーツはフットサル。