
自分のお店を持ちたい、という夢を20代で見事にかなえた滝口誠さん。30代になったいまでは、着実に店舗を増やすとともに、長野という地域に根ざした「食」の情報や文化を発信している。


お店を持つのは、大学時代からの目標でした。通常ですと10年、15年、働いてというのが普通ですが、僕の場合、短期間で勉強するために、在学中からいろいろな料理店でアルバイトしました。
学ぶ方法も、僕独特です。「お給料はいらないので、働かせてください」と頼み込んだのです。そのお店で勉強したいことを勉強したら、次のお店を紹介してもらい、移りました。そうして、フランス料理店をメインに洋食、和食、ケーキなど、料理全般ができるようになりました。無給で働いたのは、合計20軒くらいになります。
イタリアに行ったのは、卒業して3年弱くらいの頃です。就労ビザを取得し、1年間、働きました。イタリアで得たものは、「本場の料理がつくれる」ということですね。「本場の料理がつくれる」から、料理の応用ができ、アレンジができます。
日本に帰国して、お店をオープンしました。ただ、イタリアで学んだことは、いまでも役に立っていますが、「味覚」としては一切、出さなかったですね。日本人の口に合いませんから、そのまんまでは。極端に甘かったり、塩味が強かったりします。
イタリアに行って得た一番強い「思い」は、料理をつくるには、「その国の風土や食文化を知らないとつくれない」ということです。麺にしても長野は蕎麦文化で、また「コシが強い」と「固い」では違います。

僕が苦手なことは同じものを、お客さまにお出しすることです。ですから、少しでもおいしく、日々、進化することを心がけています。
それは料理に限らず、スタッフの接客でも同様で、悪い点は徹底的に潰すようにしています。たとえば、雨の日にご来店されたお客さまに、ただ単に「ありがとうございます」と言うのか、「お足もとの悪い中、ありがとうございます」と工夫して言うのか、です。そうしたことをやり続けた結果、このご時世でも大勢のお客さまにご来店いただき、次の出店の予定もあります。
また、僕のやり方は、厨房スタッフも料理をつくるだけではなく、ホールに出てお客さまにサービスする。いい料理をお出しした瞬間、お客さまはちょっと笑顔になります。そうした表情や反応を見逃さないことが大切。
当社の企業風土は、ものを教えるとき、絶対に怒らない。怒っても、自分が疲れるだけですから。怒るくらいなら、ていねいに教えてあげる。わからなければ、赤ちゃんや子どもに、教えるように教える。
最後に若い校友や在校生の皆さんへ。飲食業界は大変ですが、「夢」がある仕事ですので、大学を卒業した人にこそ、この業界に来てほしいと思っています。
(談)
「おもてなしイタリアン 和伊ン」にて
長野県長野市南長野南石堂町1421 三福ビル2F
TEL.026-225-6786
たきぐち まこと●2003(平15)年、経済学部経済学科卒業。1981年生まれ。長野県出身。大学時代から、約20のレストランでアルバイト。卒業して約3年後にイタリアへ。帰国後、飯綱高原の両親の別荘だった建物に、第1号店「トラットリア・イル・カロローゾ」をオープン。現在、4店経営。