株式会社ルミネは、「the Life Value Presenter お客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。」という経営理念を掲げ、首都圏の主要ターミナルを中心に、『LUMINE(ルミネ)』や『NEWoMan(ニュウマン)』など16の商業施設を運営しています。さらに、既成概念にとらわれない事業領域にも挑戦し、新たな価値創造を提案している企業です。(ルミネのHPリンクはこちら

 2024年度にはルミネの10年ビジョン「Global&Sustainable」を掲げ、地球規模での持続可能な未来の実現を目指し、人(PEOPLE)、コミュニティと文化(COMMUNITY&CULTURE)、環境(THE PLANET)を軸に100年先に続く心豊かな未来に向けて取り組んでいます。

本連載「ルミネの未来共創」は、ルミネが見据える「100年先の心豊かな未来」に向けた、小さな対話から始まる未来図です。アート、ビジネス、文化など、さまざまな分野で活躍する方々との対話を通じて、「グローバル&サステナブル」というビジョンをどのように現実にしていくのか、そのヒントを探っていきます。

第1回(記事はこちら)では、ルミネ代表取締役社長・表 輝幸さんと現代美術家・松山 智一さんが「アートを通じた未来へのまなざし」をテーマに語り合いました。

続く第2回となる今回は、ルミネ代表取締役社長・表 輝幸さんと、デンマーク出身で日本を拠点に世界的に活躍するフラワーアーティストのニコライ・バーグマンさんを迎え、お二人それぞれの視点から「よりよい未来」につながる想いを語っていただきました。

ニュウマン高輪に生まれる“感性の起点”。
花が導く新たなアプローチ

――ルミネ史上最大規模となる「ニュウマン高輪」が、9月に本格開業しました。まずは、そのゲートともなる北融合エントランスに「ニコライ バーグマン ニュウマン高輪店」が出店することになった経緯を伺えますか。

【ルミネの未来共創 vol.2】「花が導く、豊かな体験」グローバルな視点で見た都市×感性の在り方
株式会社ルミネ 代表取締役社長 表 輝幸さん

表 輝幸(以下、表):まさに「ニュウマン高輪」の“顔”となる場所ですので、ふさわしい方にお願いしたいという想いがありました。ニコライさんは、日本文化の良さや美しさを世界的な視点で捉えつつ、ご自身のルーツであるスカンジナビアの文化を掛け合わせ、新しい価値を生み出すことができる方です。

花は、日常に彩りを添えることも、非日常を演出することもできます。このビルのオフィスに勤める方々、あるいは観光やショッピングなどで訪れる方々の感性を刺激し、新たなインスピレーションをもたらしてくれると思います。

「ニュウマン高輪」は、“100年先の心豊かな未来づくり”に向け、皆さまとともに挑戦する舞台です。これからのAI時代において、自分たちが何を大切にするべきかを問われる時に、たくさんのヒントや勇気をもらえる場所になると考えています。

――ニコライさんは、今回の出店にどのような想いをお持ちでしたか。

ニコライ・バーグマン(以下、ニコライ): 最初にこのプロジェクトについて伺ったのは、数年前のことでした。他の都市開発プロジェクトとは異なるコンセプトを持ち、これまでの私たちの店舗とは違う空間を求めていると聞いて、いくつものチャレンジポイントがあることにワクワクしました。

私はこれまで、日本に対して、あらゆる場面で尽きることのない可能性を感じてきました。それは、日本人が持つ“諦めないスピリット”に支えられているものだと思います。挑戦に終わりがないという感覚が、この国では常に湧き上がってきます。私にとって日本は、ワクワクさせる刺激的なエネルギーに満ち、特別な挑戦ができる場所です。だからこそ、私はここを拠点に選び続けています。

そうした意味でも、今回のプロジェクトに関われたことは、私にとって大きなモチベーションになりました。

花のある暮らしを多面的に提案。
花と出会い、新しい自分と出会える場所

【ルミネの未来共創 vol.2】「花が導く、豊かな体験」グローバルな視点で見た都市×感性の在り方

「ニコライ バーグマン ニュウマン高輪店」前にて。フラワーアーティスト ニコライ・バーグマンさん

――ニコライ バーグマン ニュウマン高輪店は、「フラワー」「カフェ」「スクール」「リビング」という4つのテーマを統合した体験型施設になっているそうですね。

ニコライ: “Flowers & Design meets Living”をテーマに、花を中心とした暮らしを多面的に提案する場になっています。「フラワー」で日常に花を迎え、「スクール」でその魅力に触れ、「カフェ」や「リビング」のアイテムでライフスタイルへと取り入れていく。4つのテーマがひとつの空間に集まることで、花のある日常の豊かさを自然に感じていただければと考えました。

表:高輪ゲートウェイは、もともと約150年前に日本で初めて海の上を鉄道が走ったイノベーションの場所です。だからこそ、これからの100年、150年に向けて新たな挑戦ができるチャレンジャーたちが集まる場所にしたいと考えています。

ニコライさんには、そんな場にふさわしい挑戦をしていただきました。日常に彩りを添える花を1輪から購入できるバンドルフラワーや、初めての方でも気軽に参加できるスクールなど、私たちのコンセプトと響き合う空間をつくっていただけたと思います。

――広いスペースに4つのショップが間隔を空けて並んでいるという配置も、新鮮に感じました。

【ルミネの未来共創 vol.2】「花が導く、豊かな体験」グローバルな視点で見た都市×感性の在り方
花1輪から購入できる開放的な店舗。イベントなども開催できる

ニコライ: 街の中でも自然を感じられるような、“風が通る”イメージを意識しました。この場所を訪れた人が、何かひとつのものに視線を奪われるというより、思わず立ち止まって全体を見渡したくなるような空間にしたかったんです。天井も高く、まるで外にいるような開放感もあります。

表: エントランス全体がトータルデザインされていて、一体感のある空間になっています。この一体感が生み出す心地よさがあり、訪れる方にとっても大きなインパクトになると思います。

窓も開放できる構造になっていて、まさに“オープンロビー”なんです。さまざまな人が自由に出会い、交流できる場であり、イベントなども開催できるスペースにもなっています。

人々が交わることで化学反応が生まれ、また新たな価値が生まれていく――そんなオープンなロビーの中心に、日本の美意識を体現する“花”という存在がきっかけとなる。まさに「感性が出会う場」になっていると感じます。

グローバルな視点で見た、日本独自の美意識と創造力

【ルミネの未来共創 vol.2】「花が導く、豊かな体験」グローバルな視点で見た都市×感性の在り方

写真左から、株式会社ルミネ 代表取締役社長 表 輝幸さん、フラワーアーティスト ニコライ・バーグマンさん

――“花”は世界中どこにでもあると思うのですが、日本独自のものが存在するのでしょうか。

ニコライ: 私は、日本の花は世界一美しいと感じています。大小さまざまな生産者が、それぞれ独自の花を生み出しており、表情豊かで魅力的な花が本当に多い。育つ花や植物の種類も非常に豊富で、まさに世界に誇れるクオリティがあります。これほど美しい花々に出会えることも、フラワーアーティストとして私が日本を離れられない大きな理由の一つです。

日本では、文化の中に“花”が息づいています。たとえば桜の季節に行われるお花見も、一部の方には「お酒が飲めるイベント」と思われているかもしれませんが(笑)、日本人の多くが桜の季節を意識しています。もちろん、私が生まれたデンマークにも四季はありますし、自然を愛する人もいますが、日本人の自然や花への愛には、それをさらに上回る深さを感じます。

世界を行き来していると、改めて日本の四季や自然を大切にする心、細部にまで宿る美意識、そして伝統と現代が調和する独自の文化の素晴らしさに気づかされます。

【ルミネの未来共創 vol.2】「花が導く、豊かな体験」グローバルな視点で見た都市×感性の在り方
「ニコライ バーグマン ニュウマン高輪店」限定のフラワーボックス(写真提供:ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン)

表 : 日本人はもともと農耕民族で、自然の恵みを受け、すべてはつながりの中で生きてきたからこそ、自然と共生する意識が高いのだと思います。自分がつくったものも自分だけのものではない。お互いに分け合い、支え合うことですべてが豊かになれる。この利他と共生の精神こそが、日本の本質的価値だと思います。

競い合うよりも、支え合うことを大切にしてきた文化が根づいています。その精神性は、長い歴史の中で培われた日本人の強みであり、今まさに世界に求められているものでもあると感じています。

――グローバルな視点を持つお二人から見て、世界へ発信する日本の創造力の可能性はどのようなところにあると感じますか。

ニコライ: 日本の職人技や伝統文化に根ざした“ものづくりの精神”は、国境を越えて人の心に響く普遍的な力を持っていると思います。私自身、太宰府天満宮や清水寺でフラワーインスタレーションを行ったり、博多織を用いたフラワーボックスを制作したりと、伝統文化とフラワーデザインを結びつける試みを重ねてきました。

織物の緻密な表現と花の色彩が響き合うように、細部へのこだわりや自然との調和を大切にする日本固有の美意識、そして実直なつくり手の姿勢にこそ、世界に向けて発信できる創造力の可能性を強く感じています。

表: ニコライさんは日本の良さをとても深く理解され、そのうえでグローバルな視点から“これから何をすべきか”に挑戦されています。まさに、これからの日本人が進むべき方向を提示してくださっていると思います。

日本人は、世界の良いものを取り入れ、それをお客さまや社会のために磨き上げ、自国文化として発展させてきました。そして、その積み重ねがまた新しい文化価値として、世界から評価されていくのだと思います。

それぞれの国や地域に強みがあり、それらの強みを今の時代、そしてこれからの時代に合わせて掛け合わせ、新たな価値を創造していくこと。私たちは、その奇跡の掛け合わせをこのグローバルゲートウェイである「ニュウマン高輪」から実践します。新しい時代へのワクワク感や希望を一緒に発信し、夢あふれる心豊かな未来づくりに共に挑戦してまいりましょう。

表 輝幸(おもて・てるゆき)
1988年にJR東日本へ入社。2000年、日本レストラン調理センター社長にグループ最年少で就任し、東京駅グランスタの開発などを牽引。2011年からはルミネの常務取締役、専務取締役を歴任。さらに、2016年から2021年にかけてJR東日本の執行役員 事業創造本部副本部長、常務執行役員、マーケティング本部副本部長などを務め、2023年6月より現職。

ニコライ・バーグマン
1976年、デンマーク生まれ。日本在住。フラワーアーティスト。Nicolai Bergmann株式会社代表取締役社長。代表作は、2000年に誕生した「フラワーボックス」アレンジメントで、世界中でフラワーギフトの定番となる。現在はフラワーデザインにとどまらず、有名ファッションブランドのプロダクトデザインやクリエイティブディレクションなども多く手掛けている。2022年、箱根・強羅に「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」をオープン。