人生100年時代、自分をどう愛せるか―知花くららさんらが考えるウェルビーイング
人生100年時代の幸福をテーマに
2025年9月27日、東京ビッグサイトで開催された「GOODLIFEフェア」のみらいステージにて、WELLBEING
ACTION実行委員会が主催するトークセッション「子どもたちの自己肯定感と自分らしさを育む」が行われた。
登壇したのは、モデル・歌人の知花くららさん、JTB「 MY LIV PROJECT
」マネージャーの横田裕美さん、博報堂生活者発想技術研究所の上席研究員・伊藤幹さん。そして、ファシリテーターを務めたのはフローリストの前田有紀さんだ。
テーマの背景には、日本人の「自己肯定感の低さ」がある。内閣府の調査でも、日本の若者は他国と比べて「自分に満足している」と答える割合が極めて低いことが知られている。ではその現状と、向き合い方へのヒントはどこにあるのか。

伊藤幹さん「日本は世界一長生きなのに“生きたくない”国」
最初にマイクを握ったのは伊藤幹さん。
博報堂でウェルビーイングや心の豊かさを研究する立場から、人生100年時代における自己肯定感をデータとともに紹介した。

「日本人で100歳まで生きたいと考える人は、わずか4人に1人です。中国では約8割、デンマークでは約7割。世界一の長寿国でありながら、最も“長生きを望まない”国なのです」
その理由の一つとして「自己肯定感の低さ」があるという。伊藤さんの調査によれば、日本人全体の自己肯定感平均値は10点中6点前後。特に20代の若者層で低くなる傾向にあった。
「自己肯定感が高い人は、自分の短所や弱みも含めて“これが自分だ”と受け入れる傾向が強い。一方、低い人は“克服しなければならない”と苦しみ、人と比べてしまう傾向があります。重要なのは、無いもの・足りないものに目を向けるのではなく、いま「あるもの」を見つめること。それが豊かで自分らしい人生につながると考えます。」
伊藤さんはまた「諦める」の語源が「明らめる=物事を明らかにして手放す」という意味を持つ、と紹介。「投げ出すことではなく、新しい可能性を選び取ることが“諦める”本来の力。人生”あきらめ”が肝心です。」と語り、会場の共感を集めた。

知花くららさん「短歌が私を救った」
続いて、モデル・歌人として活躍し、国連WFP(世界食糧計画)日本親善大使を務めてきた知花くららさんが、自身の経験を「自己表現」と「葛藤」の観点から語った。
「20代の私は、理想像と現実の自分との差に苦しみ、摂食障害にまで陥った時期がありました。批判を受けるたびに“自分は正しいのか”と迷い、自分を肯定できなかったんです」
その転機となったのが「短歌」との出会いだったという。
「自分の心の景色を五・七・五・七・七に乗せた言葉として昇華すると、気持ちを客観視できるようになり、涙や感情が自然とあふれ出すこともありました。短歌は私にとって、自分を救ってくれた大切な自己表現の方法のひとつでした」
また知花さんは二人の娘を育てながら大学で建築を学び、2022年には二級建築士の資格も取得。「育児と学びの両立は苦しかったが、挑戦し続ける姿を子どもに見せたい」と語る言葉には、母親としての実感がこもっていた。

会場を包んだ問いかけ
「自分らしく生きるとは?」という問いは、決して子どもや若者だけでなく、大人自身の生き方にも直結する。
伊藤さんは「これが自分らしさだ、と定義するのは難しいし、苦しい。日常の中で心が跳ねる瞬間を見つけながら、自分らしさを探すことがウェルビーイングな人生そのもの」と語った。
知花さんは「自分と向き合おうとすると、葛藤や迷いが生じて苦しくなることもある。でも、時間をかけて向き合っていくことで初めて”個性”として受け入れられるようになる」と強調した。
こうしたやり取りに、来場者からは大きくうなずき、共感する表情が多く見られた。
次回に続く
本記事(前半)では、GOODLIFEフェア・WELLBEING ACTIONトークセッションの前半内容を紹介した。後半記事では、JTB横田裕美さんの「 MY LIV PROJECT
」と、知花さんがWFP活動の中で出会った“未来を変える子どもたちのエピソード”を取り上げる。
