未来を変える「旅」と「対話」―子どもたちの自己肯定感を育む実践
社会の課題に挑む「 MY LIV PROJECT 」
トークセッション後半、JTB「 MY LIV PROJECT」のマネージャー・横田裕美さんから自身の価値観「冒険心・希望・つながり」を軸に立ち上げたプロジェクトの主旨が語られた。
「 MY LIV
PROJECTはウェルビーイングをテーマにした旅のプロジェクトです。”LIV"はデンマーク語で「人生・存在」を意味します。世界幸福度ランキング上位のデンマークの言葉を借りながら、子どもたちが多様な価値観に触れ、自分らしさや生き方に向き合う機会をつくっています」
社会背景として「日本の若者が未来に希望を持てない、自己肯定感が低い」という課題がある。そこで“旅”を通じて「人との出会い」「対話」「問い」を大切にし、参加者の変容を促すプログラムを全国で展開。

「観光人クエスト」と「ピースダイアログ」
MY LIV PROJECT の代表的プログラムが「観光人クエスト」と「ピースダイアログ」だ。
観光人クエストでは、より良い未来を創るために本質的なモノやコトに光を当て、地域で輝きながら活動をしている
“観光人”から、人生で大切にしている「問い」を受け取り、その方の生き方を追体験しながら自分の価値観を探る。参加した子どもたちからは「これからの自分の人生が楽しみになった」との声も多い。
ピースダイアログは、日本各地で平和活動に取り組む若き“ピースバディ”と平和について語り合い、自分自身の「平和とは何か」を考える内容だ。
ピースパークツアーでは、広島平和記念公園を歩きながら“現地ならではの問い”に向き合い、参加者が自分ごととして未来を自由に考える場を創出している。
横田さんは「たった一人との出会いで人生は変わる。私が変われば世界も変わるということを、旅を通じて感じてほしい」と語った。

現場のエピソードから見える価値
「知花くららさんも、国連WFP活動での海外経験を語る。
アフリカの村や紛争終結後のスリランカの学校、医療や教育インフラのない子どもたちとの出会い…。どの国の子どもも「個性と好奇心」、「距離感と親しみ」には共通点があるという。
特に印象深いのが、マサイ族の女性校長先生とのエピソード。
「マサイの慣習では、親が決めた男性と結婚するのが常識。でも彼女は学びたい一心で、結婚前夜に隣村のおばの家へ逃げ込んだんだそうです。自分で選び、学び続けたからこそ、今子どもたちと向き合い、多様性を伝えられる立場になった。その姿から、選択する自由の大切さを強く実感したんです。」
選択肢があふれる日本。知花さんは「日本で暮らす私たちは本当に恵まれている。その豊かな自由をどう生かすかが問われている」と会場に語りかけた。
「違いを認め合う社会」への転換
現代日本が直面する一つの課題として、伊藤幹さんは「SNS社会の中で多くの人が“普通”の中で生きづらさを感じている」と指摘。
「“自分が他人と違う”と感じる・そう言われて傷ついた経験がある、と答えた若者は6〜7割にのぼる。性的指向や民族性などのいわゆるマイノリティに限らず、多くの人がどこかに小さな”マイノリティ性”を抱え、生きづらさを感じていることを認識し合えると、寛容でウェルビーイングな社会につながるのではないでしょうか」
登壇者全員が「違いを受け入れる」「個性は受容の結果」という共通したメッセージを発信した。
知花さんは「苦しい瞬間や葛藤こそ、自分の存在や個性につながる」と、子育ての現場から実感を込めて語った。

未来へ向けたラストメッセージ
最後に、参加者一人ひとりへ「自分らしさを見つけるヒント」が語られた。
知花さん「個性は何かを受け入れた先に見えてくる。壁にぶち当たったとき、選択と葛藤を重ねて、自分を丸ごと受け入れられる瞬間を大切にしてほしい」
横田さん「出会いと気付き、旅の機会を通じて、子どもたちの価値観が変わるのを見ると、社会にも新たな風が生まれると感じる」
伊藤さん「自分らしさは一つに定義されるものじゃない。心が跳ねる瞬間、沈む瞬間を大事にしながら、いろんな自分らしさを見つけてほしい」
会場には多くの親子連れや教育関係者がつめかけ、熱心に聞き入る姿が見られた。WELLBEING ACTION!のブースにも人が絶えず、社会全体の幸福と個人のウェルビーイングを願う思いが広がっていた。

