現在位置:asahi.com>ニュース特集>長崎市長銃撃> 記事 市長への発砲、背後1メートルから 支持者装って接近2007年04月19日06時04分 長崎市の伊藤一長(いっちょう)市長(61)が射殺された事件で、逮捕された指定暴力団山口組系「水心会」会長代行、城尾哲弥容疑者(59)は約1メートルの至近距離から市長の背中に向けて1発目を撃っていたことが18日、わかった。さらに、うつぶせに倒れた背中へ2発目を放ち、銃弾はいずれも心臓を貫通していた。市長が選挙カーを降りた直後の犯行で、待ち伏せていたとみられる。こうした状況や本人の「殺すつもりだった」などの供述から、長崎県警は威嚇などの意図はなく、城尾容疑者が当初から明確な殺意を抱いていたとの見方を強めている。 調べでは、殺害に使われたのは米国スミス&ウエッソン社製の38口径回転式拳銃で、城尾容疑者は犯行当時、銃弾約20発を所持していたことも新たに判明した。 現場はJR長崎駅近くにある伊藤市長の選挙事務所前。17日午後7時50分ごろ、市長が車道に止めた選挙カーを降り、近くの事務所へ歩いて向かうまでのわずかな間の犯行だった。 付近の歩道に買い物客らが行き交うなかで、同容疑者は、支持者のようなそぶりで近くにいた陣営関係者らとあいさつを交わした後、選挙カーから姿を現した市長に近づき、背後から発砲。直後に、陣営関係者らに取り押さえられた。 城尾容疑者は調べに対し、市発注の歩道工事の現場にあったくぼみに自分の車が転落した事故や、知人の会社への公的融資などをめぐって市への不満を募らせていたと供述。県警は、暴力団の組織とは関係なく、市や市長に対する恨みなど個人的な動機による単独犯行とみている。 一方、城尾容疑者が所属する水心会は事件を受け、18日付で県警に解散届を出した。捜査関係者によると、水心会は県内では結成時期の古い組から分裂して生まれ、山口組内では「直参(じきさん)」と呼ばれる格上の扱いをされている。ただ、現在の構成員は数十人と少なく、資金確保に苦しんでいたという。 県警による司法解剖と入院先の長崎大付属病院によると、伊藤市長の死亡は18日午前2時28分。背中から撃ち込まれた銃弾2発が心臓に達しており、銃創による大量出血が死因だった。銃弾は背骨の右側から左上方に向かって撃ち込まれ、心臓を損傷。胸の骨で止まっていた。 PR情報 |