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菅原 有佳 先生
東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 特任助教
腎臓は背骨の両脇に一つずつある臓器で、最もよく知られている機能は血液中の老廃物をろ過し、尿を作ることです。この時、体に必要な蛋白質(たんぱくしつ)や赤血球などの成分は残すよう振り分けて、血液中の水分・塩分・イオンのバランスを整えています。他にも血圧を正常に保つホルモンを作ったり、骨を強くしたり、貧血を改善したりする働きがあります。

日常的に腎機能を意識することは少ないかもしれませんが、CKDは多くの人がかかる可能性がある病気です。そのため、検診後は尿検査と血液検査の結果に注目してご自身の腎機能を確認してください。尿検査では、尿蛋白と尿潜血の有無を、血液検査では、筋肉から出る老廃物のクレアチニンが基準値を超えていないかを確認します。さらに、クレアチニンと年齢・性別から算出するeGFR(推算糸球体濾過量)もチェックをしましょう。「60未満」の場合は、腎臓の働きが低下しています。
腎臓の働きが悪くなると、老廃物を捨てたり、振り分けたりする機能が低下します。CKDはこの状態が続いている病気で、①尿検査や血液検査などで腎障害が明らかであり、特に尿蛋白が出ている②eGFRが60未満、の両方あるいはどちらかが3ヵ月以上持続する状態、と定義されています。また、その重症度は蛋白尿とeGFRによって定義され、最も進行した末期腎不全では血液透析や腹膜透析、腎移植などが必要になります。しかし、CKDの初期は自覚症状がないことが多く、さらに一度機能が低下すると元に戻りにくいことが知られていますので、早期に発見して治療し腎機能の低下を緩やかにすることが大切です(図参照)。

腎臓が悪くなる二大原因として、高血圧と糖尿病があげられます。腎臓はたくさんの血管が絡み合う臓器であり、動脈硬化が進むと腎臓の働きが低下するため、動脈硬化に関連する高血圧、糖尿病を早期に治療することが大切です。
治療薬は、高血圧・糖尿病の状態を見ながら腎臓を保護する薬などを使用し、定期的に検査をしながら長く使っていきます。
最後に腎臓を元気に保つための心がけをお伝えします。今、特に問題がない方は、禁煙や飲酒量の適正化、運動などで適切な生活習慣を保つことが大切です。加えて、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの動脈硬化につながる症状や病気は治療するようにしましょう。またCKDと診断された方は、継続して医療機関を受診し、処方された薬をきちんと飲んで、治療を続けていただきたいと思います。