Beauty
2017.01.18

齋藤薫の美しい歳の重ね方
詳しすぎる事前情報が手に入る時代 「知る旅」より「感じる旅」のススメ。大人はもっと海外へ!

平成の若者は、海外旅行にあまり行かないらしい。恋愛しない若者が増えたのは、「傷つくのが怖いから」と、「億劫だから」。しかし海外に行かないのは「億劫」と言うよりむしろ、ネットでいくらでも情報が得られるから神秘性を失い、わざわざ見に行かなくてもという理由からではないかと思う。実際昔は、外国にまつわる知識はガイドブックに頼るしかなく、その国の背景を知りたければ図書館に行くしかなかった。いずれにせよ、もっと知りたいと言う衝動にかられて旅に出たもの。

じゃあ、情報が溢(あふ)れかえる今の時代、外国は本当に神秘性を失ったのか。いやむしろ逆だと思う。かつて私たちが事前に知り得た情報は、言わば小学校低学年レベル。よって、現地に行ってもさらりと表面だけを見て帰ってきた。でも今は、個人のブログまで含めれば「何もそこまで教えてくれなくても」と言うほど、濃厚かつ細密な情報が一瞬で手に入り、初めて行く国でも大学院レベルの知識を用意して出かけられる。誰でもその国の真髄に触れる旅ができるのだ。単純に、歴史を詳細に調べていくだけで、あらゆる景色が違って見えるのは言うまでもないが、教科書にある歴史じゃない、様々なドラマを知って出かけると「知る旅」に留まらない、「感じる旅」ができてしまう。旅好きの友人も以前は、「知らない国には行っとかなきゃ」という思いだけだったのが、最近は“既に行った国”にもう一度行き直していると言う。そして、どこへ行っても必ずどこかの瞬間で、涙が出ると言う。詳しすぎる情報が、旅をとても叙情的で精神的なものにしてくれたのだ。だから大人はもっともっと海外に行くべきだ。今こそ心の旅へ、自分を連れて行くべき時!

さいとう・かおる
多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。近著の『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo! ニュース「個人」でコラム執筆中。