Beauty
2017.04.11

齋藤薫の美しい歳の重ね方
自分のためには泣かない。人に感動して泣くほどに、人はキレイになる。

涙にストレス物質が溶け込んで、一緒に体外に出て行くのは、よく知られていること。だから泣きたい時は思い切って泣く方が心にも体にもいいわけだけれど、そうした涙の効用を利用して、今や“婚活”ならぬ“涙活”が提唱されていたりもする。誰でも必ず涙の出る映画や音楽を使って、定期的に涙を流すと言うストレス解消法。それが間接的にダイエットになると言う説まで飛び出すほど。

確かに感動から出る涙は自律神経のバランスにより副交感神経が優位となって出るもので、深いリラックス状態をもたらすが、“悔し涙”などの興奮状態から出る涙は、逆に交感神経が優位になるため涙の原料まで異なり、塩辛い涙になるとも言われる。

言い換えれば、“自分の業から出た涙”に人を癒やす力はないということ。やはりあくまでも、感動によって心が震えた時に出る涙こそが人を美しくすると言えるのだろう。そして“人が人に感動して流す涙”こそが1番と言われるのも、感受性に加えて、これまでの人生経験から相手の立場になることができる広い視野と徳から出る涙だから。人を完全にリラックス状態にし、身も心も浄化してくれるのだ。とすれば、年齢を重ねるほどに人は人のために泣けるし、浄化の涙が流せることになる。涙で自らを清らかに洗う、これ以上のアンチエイジングはないということ。意図的に涙を流しに行くのは、言ってみれば自分のため。そうではなくて、世の中のいろんなことに心が震え、自然に温かい涙が溢れ出るようになることが大切なのだ。自分のためより、人のために泣ける魂を持つことが……。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。近著の『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo! ニュース「個人」でコラム執筆中。