齋藤薫の美しい歳の重ね方
私たち女は忘れている、無駄にしている仕草の美。まず美しいお辞儀ができること。
「どんな女性が素敵に見えますか?」。男性を対象にそういうアンケートを取った時、実は意外なほど多かったのが、「所作の美しい人」という答えだった。例えばオフィスで、てきぱき仕事をしているのに動作が流れるようだった人に見とれた、とか、食事の時、箸の使い方、口への運び方が目立って美しい女性に惚(ほ)れた、とか、はたまた、お辞儀が美しい女性は美しい……みたいなコメントもあって、男性は女性の仕草や所作を想像以上によく見ていることに気づかされて、ハッとしたもの。なぜなら、私たち女性は動作の優先順位をかなり低く置いていて、日頃から意図して美しくしようと心がけている人は、おそらくとても少ないからなのだ。自分を引いて見られない私たちは、他人の目にはそれが一番目立つこと、全く気づいていないのである。
ただし、仕草や所作は美しく見せようと意識しすぎれば、不自然になり、野暮になり、あざとくも見えるのだろう。体の動きこそ、完全に身についたものでなければならず、人に見せる前に、まずは小さな心がけを。例えば、あなたは美しいお辞儀ができているだろうか。何度もペコペコ頭を下げるのが未(いま)だ“日本人のイメージ”だったら悲しいが、穏やかに丁寧に美しくお辞儀をする日本女性の姿は世界遺産にも等しいと言われるだけに、この、所作の基本の基本からもう一度見直したい。言葉遣いの乱れと所作の乱れはシンクロしている。所作に心を砕くようになれば、とても自然に言葉遣いにも優しさや丁寧さが生まれるのだ。そう、物を手に取ったり渡したり置いたり、当たり前の動作をただ心を込めて丁寧にするだけでいい。トツトツせず、お茶のお点前のように流れるように。それだけであなたを遠くから見とれる人が現れる。いや、いつもそうやって人から見られていることを意識する、まずはそこから始めよう。それが当たり前になった時、あなたは世間から見て美しい人になる。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。近著の『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo! ニュース「個人」でコラム執筆中。
