齋藤薫の美しい歳の重ね方
年の初めに、「今年はもっと、きちんと生き直したい」
結局のところ、そう思う人の勝ちである。
「今年こそは、もっときちんと生き直したいと思います」あるいはまた「今年はもう少し、丁寧に生活し直そうと考えています」。今年、友人から来た年賀状には、そんな言葉が目立った。何かの周期なのだろうか。それとも静かな意識変化が起きているのか。いずれにしても、そういうことに焦燥感を持つ人が増えているのは確かなのだ。そこで改めて考えた。きちんと生きる、丁寧に生きる……そもそもそれは、どういうこと?
例えば朝、起きがけにベッドの乱れを直すこと、流しに洗い物をためないこと、物入れから何かを出したら、すぐしまうこと……結局のところ、そんな些細(ささい)なことの積み重ねなのかもしれないが、それだけで日々がすがすがしいものとなり、いつの間にか身も心も浄化される。その結果、人は内面も外見も美しく磨かれるという仕組み。何よりも、日常をきちんと丁寧に生きているかどうかは、その人の何げないしぐさや印象にそっくり現れてくる事実、それが歳を重ねて何となくわかってくるからこそ、日常をやり直したいと思う人が増えてくるのではないだろうか。友人たちはそれを自分に言い聞かせるように年賀状にしたためたのだろう。
ついでに言えば、今の時期は年末の大掃除で、いらないものを捨て、暮らしをリセットしたばかり。もしこのままの状態をずっと保てたら、自分の生活がもっと清らかなものになるのにと言う思いから、そういう誓いのような言葉が自然に出てきたに違いない。“習慣が人格を作る”という言葉をここでまた改めて思い出した。そういう小さな心がけが、やがては身も心もしゃんとした、立派な女性を作っていくのだろう。友人の気づきが羨(うらや)ましく思えた。日々をやり直したいと言う思いこそが、一つ上の次元の人間を作り上げるのだ。そう思えた年の始まり!

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。近著の『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。
