Beauty
2018.02.08

齋藤薫の美しい歳の重ね方
結局人間、気持ちで食べる。だから、“ほぼ毎日、鍋”という、生命力の高め方。

冬に食欲がない人は基本的に少ないのだろうが、少し前に病気をした母は冬もいよいよ食欲がなく、高齢なだけに、食べないことが体力、気力、筋肉量、全てに影響してくるから、何とかして食べてもらわないと、と家族で頭を悩ませた。大好きだった肉も魚もあまり喜ばず、かといって野菜をモリモリ食べるわけでもなく、よく食べるのはフルーツくらい。何も食べたくないわけでは無いからこそ、食べさせる方法があるのではと考えたのだ。

そこで行き着いた結論は、食卓が華やかなこと。品数や色数と言うよりは、場が賑(にぎ)わうこと。大切なのは気持ちが上がることなのだと思うに至る。例えば鍋。鍋にしようと決めた時から、何だかみんなの気持ちが華やぎ、始終ニコニコしながら食べ続けると言うすばらしい時空間が生まれる。ささやかな幸せの象徴、特別な食卓だ。そこで私たちは“ほぼ毎日鍋”と言う食卓に切り替えた。幸い今年はいろんな鍋のレシピが情報として溢(あふ)れている。肉や魚貝も自然に食べられ、野菜だって勢いで食べている。最後は炭水化物で締めるから、毎日食べてもちゃんとバランスが取れてしまう。水分もたっぷり摂れ、うっかり塩分の摂り過ぎになることを気をつければ、不思議に飽きないのだ。言うまでもなく、下ごしらえも後片付けも簡単。みんなが平和な気持ちになれる。しかも、火を囲み、湯気に包まれることが癒やしの時間になるようで、まさにいいことずくめ。

まぁこれは冬の間だけの特別編成と言え、体を温めること自体がアンチエイジング。血行を高め、代謝を高め、体温を上げることで免疫力も高まると言う説もある。

それにしても、人間やはり“気”なのだと改めて思い知る。特に、食卓の作る空気。上向きの空気が気持ちを上げ、食欲を上げ、結果として生命力を上げてくれる。食べる事を義務にしてしまうか、幸福感の発露とするか、それを分けるのは食卓なのだ。「ほぼ毎日鍋で、生命力を上げる?」結局人間食べることで生きているという、その基本に戻って発想した健康寿命の延ばし方、これはありだと、確信した。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。近著の『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。