齋藤薫の美しい歳の重ね方
クローゼットの服を今の半分以下に減らさないと、人はどんどん老けていく
モノを捨てられないのは、一種の老化現象である。ここまで“断捨離”という概念が隅々まで行き渡っているのに、「もったいない」こそ美徳と考える世代は、明らかに着ない服も大事に大事に取っておく。いや大事にすると言うより、ただ捨てることへの罪悪感に縛られているだけ、終活みたいで抵抗があるだけ、単純に整理が面倒なだけ、なのかもしれないが、いずれの場合も、やっぱり老化。捨てられることが、若返りになり、捨てた結果、若さが蘇るのは間違いないのだから。
逆に若者世代は、いわゆるメルカリ(フリーマーケットアプリ)などで、何でも売ってしまう。使いかけの口紅さえ売れてしまうというから、それはそれで怖いが、別の意味で「もったいない」から売って処分するという時代なのだ。ただ、この世代にも見習うべき点はあって、自分にとって不要なものをどんどん処分していく事は、生き方をシンプルにするという断捨離の目的以上に、自分という存在をどんどん研ぎ澄ませていける。つまり自分にとって必要か不要かを、あっという間に判断して不要なものはアッという間に売ってしまう。どんどん次のものを試せるから、自分にとってより良いものだけが残っていく。シンプルになってる場合じゃなく、その気になれば自分をどんどん進化させられるのだ。
とりわけ服は、“これから着るもの”より“もう着ないもの”のほうがはるかに多くなっているはずなのに、それがごっちゃになってクローゼットをぎゅうぎゅうにしていると、自分が何を着れば美しいのか、どんどんわからなくなっていく。それどころか、全く時代遅れの服を、もったいないからとわざわざ着てわざわざダサく、わざわざ老けていく人が少なくない。洗練される道理がないのだ。だから人が美しく洗練されるためには、服を半分以下に減らし、まずは、これから着る服だけにすべき。劇的に減らせば、より良い服を少しだけ買い足せる。それだけで人は見違えるほどオシャレになるはずなのだ。だから半分以上捨てよう。捨てるのが後ろめたいなら売ろう。時代遅れの古着を売ることも後ろめたいなら、思い切って捨てよう。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。
