Beauty
2019.04.11

齋藤薫の美しい歳の重ね方
心の整った人への新習慣。「瞑想」は、難しくも面倒でもない“呼吸法”。

昨年夏に洞窟に閉じ込められたタイの少年たちが先ごろ来日した。改めて見る彼らはみな見事に聡明そうだ。まだあどけないのに、極めて落ち着いた印象を放っている。そこで思い出したのが、生存率も救出率も極めて低いと言われる過酷な状況の中、1人としてパニックにならず、驚くほど穏やかな精神状態を保っていたこと。一体何故? と世界中が不思議に思い、その理由が、コーチの指導のもと洞窟の中で瞑想を続けていた事実にあったこと……。

折しも、瞑想は1つのトレンドとなっている。それも美容につながるからのトレンドだったが、瞑想の本当の目的は言うまでもなく“心を整えること”。どんな事態にも自分を見失わず、心静かに大人の対処をするためのトレーニング。そのための瞑想なら、習慣にすべきだが、多くの人が大げさに考え尻込みする。でもたった今この場で、わずか1分間でできるとしたらどうだろう。

あぐらでも正座でも、椅子に腰かけてもいい。背筋を伸ばして、目を閉じて、顔からも肩からも力を抜いて、静かに深い呼吸をするだけ。吸う時は鼻から3秒、吐く時は同じく鼻から5秒……。一般的に、健康を呼び込む呼吸法は、鼻から4秒吸って、口から8秒で吐くのが基本とされるが、どちらでも良いとされるのは、意識を隅々にまで張り巡らせ、ゆっくり呼吸することが何より大切という意味なのだろう。

どちらにせよ、これはネガティブな思考を、ポジティブな思考に変える心の浄化。不安を感じたら、怒りを覚えたら、そして辛い苦しみ悲しみを忘れたいなら、目を閉じて深呼吸。それが反射的にできるようになった時、その人の魂は一段上へと格上げされていく。タイの少年たちは、カメラを向けられると、ほのかに微笑みながら合掌した。それが、タイ風の挨拶だとしても、そこに相手に対する尊敬の念が含まれるあたりは、やはり心を整え魂レベルを上げる1つの習慣なのだろう。残念ながら私たちにはそうした習慣がないからこそ、思いついたら1分間瞑想を行って心を整えよう。それだけで少しだけ生き方が変わってくる。多くのことを良かったと思え、幸せが増えていくはずだから。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。