齋藤薫の美しい歳の重ね方
「べつに、100年も生きたくない」と言う人へ。
もっと長く生きたくなる方法を考えた。
寿命は長いほど良い……はずだった。人生100年と言われて、みな当然のように喜んだはずだ。ただそれも束の間、ここに来て一転、100年生きられる未来は不安の方が多くなる。言うまでもなく、例の2000万円不足問題をきっかけに、そこまで長生きしたくないと言う人がにわかに増えてもいるのだ。昭和30年には約65歳だった、過去の平均寿命を考えるにつけ忍び寄ってくる、“全く未知の領域に入っていく不安”も加わった。でも改めて気づかされるのは、“自分の寿命”ほど不安と期待が表裏一体のものもないということ。一瞬でどちらにも転ぶことが、今回証明された形。だったら“不安だらけ”を、もう一度希望に変えて、100年時代を心待ちにはできないものか。
所詮、人生の長さばかりは自分じゃ決められない。100年も生きるつもりはないわと言っても、生きなければならないのが寿命。だからまずは、100年生きる覚悟を決めて欲しい。最後まで歩ける体、最後まで新聞を読む脳、最後まで人生を楽しむ感性。これらを3つの覚悟として、きちんと用意して欲しいのだ。このうち、肉体と脳は、今から準備すればまだ全然間に合う。これはもうトレーニングあるのみ。問題となるのは、3つ目の、人生を楽しむ覚悟である。
ただ漫然と長い年月が待っていると思うから不安が募るのだ。そうではなくて、全く新しい人生のテーマを作り出す。無理矢理にでも作り出す。これから大学生になる位のつもりで。ただそれ、お金がかかりそうだからと尻込みする人もいるのだろうが、そこは身の丈に合ったテーマを探す。でも何かの研究だったり、語学の習得だったりしたら、今時スマホ1つあればお金はかからない。作品発表も含めた自己表現、サークル活動の類も、それこそSNSでクリアできる訳で、実は今お金をかけずに夢を叶えられる時代でもあるのだ。あとは未来の自分への好奇心を掻き立てるだけ。
かくして3つの覚悟が整うと、自然に生きるエネルギーが湧いてくる。経済的にも何とかなりそうな気がしてきて、不思議に長く長く生きたくなる。希望が体の中に充満した結果だ。せっかく長く生きられるなら、そういうふうに生きなければ。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。
