Beauty
2019.11.18

齋藤薫の美しい歳の重ね方
「1年って、なんでこんなに短いの? 」
11月半ば、毎年生まれるこの疑問。だから考えてみた。1年が驚くほどに長くなる方法を!

11月も半ばを過ぎると、「今年ももう終わり」という焦りと諦めが一気に押し寄せ、余計前のめりな日々になる。そして口を開けば「1年って、なんでこんなに短いの?」。誰も答えはくれないから、年々疑問が深くなり、1年はさらに短くなる。だから改めて紐解いてみたくなった、時間の概念。

ともかく、子どもの頃の1年は恐ろしく長かった。それが年齢とともに年々短くなるわけで、実はその理由を本気で解明した人がいる。“ジャネーの法則”で名を残す19世紀の哲学者。それは、50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1だが、5歳の子供にとっては5分の1。だからそれぞれに1年を振り返ったとき、歳を重ねるほど1年は、些細なものになってくる、そういう法則である。なるほどそれも一つの真理。すべての年代で、人はそれまでの人生を人生と呼ぶ。10歳にとっての10年だって、立派な人生なのだ。

でもそれでは、1年は短くなるばかりで延びることがない。だからこう考えた。初めて行く場所へ歩いて行く時、行きは非常に遠く感じるのに、帰りは近い。時間的にも帰りは半分くらいに感じる。なぜか? 行きに一度体験した道だからである。旅も同じ。たったの1泊が4日も5日も経ったように感じられることがある。すべては初めての体験だから。初体験だと1秒1秒に意識が宿るから、時間が緻密になる分、長く感じられるのである。つまり、年齢を重ねるほど1年が短くなるのは、何をやっても大体が前に体験したことだから。毎週同じ番組を見ていると、ええ? もう1週間経ったの?と毎週驚くはずで、それも同じ法則。子どもの頃は毎週見ている番組が待ち遠しすぎるから、1週間が逆に長く感じたが、大人になるほど感動が薄くなるから短くなる。要は、新鮮な感動をもたらす初体験が多くなるほど時間は長くなるのだ。1日も1週間も1年も、全部の単位が長くなる。だから毎日、毎週、毎年、同じことを繰り返してはいけない。常に新しいことをし続けて、自分を飽きさせない努力、それが1年を長くする絶対のコツなのだ。ひとまずは、待ち遠しいほど魅力的な初体験の計画を、常に用意しておきたい。それだけで1年は長くなる。だから歳をとらない。是非ともやってほしい。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。