Beauty
2020.01.14

齋藤薫の美しい歳の重ね方
同性に「こういう女性になりたい」と
尊敬にも似た憧れをもたせる人の、声と笑顔の体温

子どもの頃から、同じクラスに「こういうふうになりたい」と思わせられる女子がいた。小学校の時も、中学校の時も……。そして思えば、みな同じタイプ。温かい笑顔で相手を包み込むような包容力を持った女性たち……。いやまだ少女と呼ぶべき年齢なのに、彼女たちは当時の自分には、とても大人に見えていたのだ。

それをふと思い出したのも、自分がそんなふうに憧れた女性のタイプそのものと言ってもいい存在に、突然気づいたからである。フリーアナウンサーの八木亜希子さん……先ごろ、体調を崩して休業を発表したというニュースが流れたばかり。本人が登場することのない休業報告は、その人がどんな女性だったのかを、はっきりと浮き彫りにしたからなのだ。

以前もこの連載コラムで書いたのは、誰かがその人の存在を思い出したとき、いきなり笑顔が浮かび、笑顔しか思い出せない、そういう女性になるべきだ、ということだったが、八木亜希子さんとは、まさにそういう存在。その典型的な人であると言っていい。

笑顔の美しさは格別で、基本的にいつも笑顔。とはいえ、ここまで見事に笑顔しか思い出せない人は極めて稀(まれ)。まさにそういう女性になるべきなのだと今改めて気づかされたわけなのだ。

そして、体調不良を心配する人たちが、口々に彼女の人となりを語った時、顔の記憶は嘘をつかない、と確信した。全く裏表のない人。相手をたちまち受け入れ、相手の懐にするりと入り込んでくる人。また、その声を聞くと、それだけで心が安らぐ人……。笑顔に体温が宿っているのはもちろん、確かに声でも温かい体温を感じさせる人。それが相手をすっぽり包み込む、包容力の正体なのかもしれない。改めてこういう人になりたい、ならなければ、と思い知らされたのだ。

単なる美しさや、お洒落のセンスの良さで、同性に憧れられる人はもちろん少なくないし、それだって充分に素敵なことだけれども、ダイレクトに「こういう人になりたい」と同性に尊敬含みの憧れを持たれる女性となると、そうはいない。何よりも尊いことではないだろうか。どうしても笑顔しか浮かんでこない、この素晴らしい女性の、1日も早い回復を祈りたい。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。