Beauty
2020.02.12

齋藤薫の美しい歳の重ね方
マスクをしたままの接客は是か非か!?
その議論が未だくすぶっている日本って、やっぱり正しい?

日本人はマスク好き。冬場のマスク人口の多さは、欧米人から見ると異様な光景に映っていたと言う。マスクの効果に関する議論はさまざまあるが、インフルエンザ対策はもちろん防寒の意味もあるし、心理的には、どこかで存在感を消したいという日本人に潜んだ国民性のせいでもあるのだろう。確かに欧米人には理解できないはずである。

しかし今回の騒動で、彼らにもマスクの意味が少しは伝わったはず。しばらくは収まりそうもない新型コロナウイルス拡大の報道。海外では日本以上に神経質に感染の可能性を排除する動きが見られ、ヨーロッパの音楽院ではアジア人全員のレッスンを当面禁止するという極端な方法を取り、とあるレストランでは防護服を着て接客をしているのだと言う。

そんな中、逆に日本では、接客業がマスクをして対応していいのかどうか?と言うことが物議をかもし、実は未だその議論がくすぶっている。言うまでもなく、接客上、失礼を与えないかと言う意味で。マスクが欠かせない国だからこそ、マスクのマナーと、それが見た目に与える印象にもちゃんと心を砕く心根があると考えていいのだろう。

そんな折も折、ある店でマスクをしたスタッフがこう言った。「お客様、マスクをしたままで申し訳ございません。収束に向かうまで、失礼をお許し下さい」と、頭を下げたのだ。改めて周りを見回すと、春節で日本を訪れた中国人観光客にも一人一人丁寧に詫びている。そう、これでいいのだと、深く納得した。

やはり店のスタッフ全員がマスクをしているのは日常にはないことだし、お客のほうはやはり防御されている疎外感と言うものを感じずにはいられないだろう。でもその一言で、拒否されている感覚は一気に和らぎ、ちょっとだけ温かい気持ちにさえなれる。いえいえそれは当然のこと、お互い気をつけましょうと言う気持ちになれる。そういうメンタリティーが、こうした場面でこそ示されるのだろう。どうしたら人を傷つけないか、どうしたら人に迷惑をかけないか、その二つをしっかりと考えられる国民性がこの先もきちんと形と言葉で示せれば、この難局も冷静に乗り越えられるはずである。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。