齋藤薫の美しい歳の重ね方
“予定表”の予定でごまかしていた「心の充足度」が明らかになる今こそ、
毎日をやり直すチャンスと考える
誰もが忙しい日々に追われ、いつの間にか“望んでいない生き方”になっていたりする。いや、気づかずにいても、何となく気持ちが晴れないのはその証。自分の理想とする暮らしになっていない……そう思うなら、不謹慎ながら、今がチャンス。生き方を全面的にリセットするいい機会なのかもしれないと思ってみたのだ。
人と会わず、外出せず、ほとんどの時間を家で過ごす。こんな2020年を誰が想像しただろう。でもそれは、思いがけず白紙の時間をもたらした。ありえないほど禁欲的な無の時間を。仕事を減らしたり失ったり、子どもの休校で混乱している人には申し訳ないが、今まで走り続けていた人たちに、立ち止まる時間を与えた。全てを見直す猶予を与えた。当たり前が当たり前でなくなる事態は、逆に自分の生き方をゼロに戻してイチから立て直す、予期せぬエネルギーを与えてくれるはずなのだ。
この際何かやり直したいと思い立ったら、まず自分の中のモヤモヤを解決する形で、具体的なリセットをしてほしい。例えば年末の大掃除とは違う、今までずっと気になっていたモノを整理して処分する。あるいは、書かなければと思っていてタイミングを逸した手紙を書く。何かの手続きなど、やり損ねていたことをやる。ともかく心に引っかかっていたことを、クリアにする。それが生き方のリセットのコツ。古い下着や、使っていない雑貨を捨てるだけでも、心身ともにリセットが始まり、心はゼロ化される。そこで何を考えるか……。じつは、他者との関わりを持たずに家にいることで、今まで見えなかった自分の内面が不思議なほどくっきり見えてくる。“予定表”の予定でごまかしていた心の充足度も見えてくる。だから、自分の人生において一番大切なものは何なのかをもう一度見極められるはず。その上で毎日を一からきちんと生き直す、今しかないほどのチャンスである。じつは以前から、星回りとして2020年は「価値観が180度変わる年」とされていた。暇つぶしの方法を探している場合ではないのだ。

さいとう・かおる
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。
