Beauty
2020.09.16

齋藤薫の美しい歳の重ね方
セカンドハウスも、リフォームも、
そして人生見直しさえ今、思い立ったが吉日!

「思い立ったが吉日」……少なくとも今は、あまり心に響かないことわざだ。先のことがなかなか見えない今、多くのことをペンディングにしがちだから。何か人生を中断している感覚があるから。でもだから今こそ「思い立ったが吉日」のタイミングだとしたらどうだろう。リモートワークが常識となることで、海のそばにセカンドハウスを持とうと決めた人がいる。今だから決断できた。逆に今を逃すと、もうできなくなる気がするからと。確かに今は、思いがけなく与えられた人生の余白。自分を見つめ直し、人生に足りないものは何なのか? 本来望んでいたものは何なのか? を見極め、その勢いで大胆な調整をしていく、そういうチャンスなのではないか。こんなケースもある。政治家の妻は東京でないと仕事ができないと言い、夫はこれを機会に地方に移り住みたいと言い、極めて冷静にしかもアッという間に離婚を決めた夫婦がいたのを知っているはず。生き方の明快な違い、価値観の違いを、今だからちゅうちょせずにしっかりと形にできたのだろう。あくまで前向きな結論だった気がする。

一方、家のリフォームに踏み切った人もいる。いや応なしに日常生活を見直す形になった時、これまで見て見ぬふりをしていた不完全な暮らしがどうにも気になり、きちんとやり直したいと思い立ったという。まさに今でないとできないからこその、吉日と。

多くの人は、日々に追われるうちに自分の人生を正すタイミングを失いがちだ。それこそ見て見ぬふりをするか、いつかいつかとずっと後回しにし続けているか。だからこの人生のペンディングこそ、それを形にする最大のチャンスであると言いたいのだ。いつかいつかと言っているうちは、絶対に実行はできない。いつかはまさに今なのだと。ニューノーマルという言葉が多用されているが、みんなどこかで元の生活に戻る日が来ると思っている。何となくだが、マスクを外すことができた時、意識も生活も元通りになると。そうなった段階では、何か気持ちもなえてしまいかねない。だから今なのである。思わぬ展開に人生を変えようというエネルギーが体の中を駆け巡っているうちに。人生の懸案事項を解決するならば、今なのだ!

齋藤 薫 さん

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。