Beauty
2021.03.22

齋藤薫の美しい歳の重ね方
“なんだか辛(つら)い”のなら、一日何度も深呼吸!
それだけで心と体が健康になるのは、人間の神秘だ

深呼吸の大切さが、思いのほか長引きそうなコロナ禍において改めて見直されている。在宅が増えたことでの不眠症や何となくのコロナ鬱(うつ)に、いちばん簡単でいちばん効果的な方法は呼吸法であるとの声もあるほどなのだ。

そもそも私たちは基本的に呼吸が浅い。睡眠中の「寝息」では、あんなにゆっくりあんなに大きく呼吸を繰り返しているのに、日中意識して呼吸することがない。だからいろんなことが辛くなる、と考えて欲しいのだ。ゆっくり深呼吸しているときは、いやでも頭の中が空っぽになる。目を閉じて自分の息が鼻の奥の奥まで行き渡るのを感じながら深呼吸する時、何かが浮かぶとしても清々(すがすが)しい空や山々だったりするはずだ。それは知らず知らず頭の中を占めている負の思考を、物理的に追い出している状態に他ならない。 それこそが「無の境地」。それも、脳の中では一日中さまざまな思考が駆け巡っていて、その数6万回!? つまり1秒に1回、頭の中に生まれては消え生まれては消えを繰り返しているのだ。しかもそのうち8割近くは負の思考かもしれない。困ったとか、残念とか、あれが辛いこれがイヤ。快感や喜びも生まれるけれどすぐ消える。ましてや今、あまり変化のない生活だから余計に負の思考が多くなる。だからこそ一日何度か呼吸法によって頭を空っぽにすることなのだ。負の感情の掃除をこまめに行うことが、日々の心の平和につながっていくはずなのだ。

なかなか眠りにつけないのなら、まっすぐ仰向けに寝た状態で鼻から息をゆっくり吸って口からゆっくり吐く腹式呼吸を、10回を目標に繰り返す。多分途中で眠りに落ちているはずだ。日中モヤモヤする時も、目を閉じて背筋を伸ばしてゆっくりの腹式呼吸を。これを何度か行うことで、鬱々とした気持ちまで回避できるかもしれない。呼吸法だけでそんなに変わる? そう首をかしげるはずだが、呼吸を侮ってはいけない。人間が生まれて最初にする最もシンプルな行為は呼吸。呼吸こそが生きていく上で最低限の証しであることに改めて気づくべき。一日何度も鼻の奥まで息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。それだけで痛んだ心も体も初期化され、健康になっていく、人間の体の神秘である。

齋藤 薫 さん

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。