齋藤薫の美しい歳の重ね方
加齢臭がある人ほど、肌も衰えやすい!?
だからいよいよひと事ではなくなった体臭の話。
外出の際、香りをつけない人が増えている。マスクが必須の時代に、香りをアピールしている場合ではないし、何となく香り付けがはばかられるという理由で。逆に、自分の息のにおいを気にする人が増えたともいうが、この際改めて見直すべきは体臭。「いえ私には体臭なんてありません」と言う人も、ましてや加齢臭など自分には無縁と思う人も、ちょっと聞いてほしい。
そもそも自分にはにおわないのが体臭。朝晩入浴していても、体の中で発生するにおいは、自分ではコントロールできない。ストレスや疲労だけで体臭は強くなるし、加齢臭も意外に早く40代から始まるという。皮脂中の脂肪酸の一種が過酸化脂質や皮膚常在菌などにより、酸化・分解されることで生まれる「ノネナール※」という物質が加齢臭の原因だというが、加えて、女性の場合、更年期によるホルモンバランスの乱れも引き金になるとされるのだ。
ストレス臭も加齢臭も周りを不快にさせるのは言うまでもないが、さらに困ったことに、加齢臭が肌にダメージを与えるという新事実が、大手化粧品メーカーによって解明された。何とその加齢臭の原因「ノネナール※」を肌が感知すると、細胞死が起こって表皮が薄くなり、肌機能が衰えるとの発表を行ったのだ。ともかく驚くべきは肌が自分のにおいを嗅ぎとる事実。肌に知性があること(これも同じ化粧品メーカーの研究)も明らかになっているが、においまで嗅ぎ分けて自ら衰えるという反応を見せるとは!
いずれにせよ加齢臭があるほど衰えも早いわけで、これは本当に由々(ゆゆ)しきこと。ひと事と捨て置いてはいられない。実際に“美しい人はいいにおいがする”というイメージにも、実は根拠があったということになり、年齢に合わせた体臭のケアも今日から始めなくては!
もちろん加齢臭をマスキングする香りや消臭剤でも、肌のケアに繋(つな)がるはずだが、元から断つならやはり食べ物で、と考えたい。たとえば、抗酸化作用のあるアルカリ性食品(野菜、果物、海藻、きのこ、大豆など)やビタミンE、C、ポリフェノールなどを意識して取り入れること。でもまずは自分の体臭を正しく知ることなのだ。同じ香水の香りにも3日で慣れてしまうというほど、私たちの嗅覚(きゅうかく)は良くも悪くもまひしやすい。自分のにおいには寛容になりやすいこと、改めて肝に銘じておくべきなのである。
※ノネナール:2001年4月発行『Journal of Investigative Dermatology(JID)』において、資生堂と高砂香料工業の共同研究により"2-Nonenal, Newly Found in Human Body Odor Tends to Increase with Aging"の表題で発表。人の体臭中に存在する物質で、加齢臭と関連するとの研究。資生堂の登録商標。
齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。
