Beauty
2021.09.15

齋藤薫の美しい歳の重ね方
どこか半信半疑だった笑顔の効用。
それを120%確信させてくれた最強なる三つの笑顔

笑顔の大切さについては、このコラムでも何度か取り上げてきた。笑顔が有形無形にもたらす効用について、もう多くの人は知っている。ナチュラルなリフトアップになること。おのずと前向きになること。そして免疫力が高まることも。つまり良いことずくめだということを理屈ではわかっているが、いまひとつ半信半疑。自分の笑顔も本当にそういう効果を持つのだろうか。となれば巷間(こうかん)に伝わる笑顔の力も疑わしくなってくる。そんな折も折、なるほどそういうことなのか!と、多くの人が膝(ひざ)を打ったに違いないのが、特別なスポーツの祭典で目撃した三つの笑顔だった。

もちろん競技には当然のこととして、勝者の笑顔が溢(あふ)れている。そうと分かっていても、その圧倒的な笑顔に目を見張らずにはいられなかったのが、まず障害者の女子マラソンで優勝した選手。これが世に言う「デュシェンヌ・スマイル」なのだと深く納得させられた。

笑顔には本物と偽物があると提唱した“笑顔研究”の先駆者、19世紀の神経学者デュシェンヌ博士が定義した「目尻にシワがより、口角が上がり、ほおの肉が上がった」“本物”の笑顔に他ならなかったから。逆に目が笑っていない、口角が上がりきっていないのが“作り笑い=ノンデュシェンヌ・スマイル”。人間の顔の筋肉と魂は直接つながっているからこそ、本物の笑顔は人の心を動かすのだと強く裏付ける笑顔だった。

また同じく障害者の女子自転車ロードレースの優勝者の笑顔も格別で「日本選手優勝者の最年長50歳」を何度も祝福されて「あ、また言った!」と大笑いした笑顔があまりに明るく艶(つや)やかなのに、衝撃を受けたほど。笑顔が前向きに生きるためのエイジングケアであることを思い知らされたのだ。

もう1人、印象深かったのが女子ボクシングで劇的勝利を飾った選手。この人は決勝のリングに上がる際、全員が固唾(かたず)をのむ中、もう楽しくてしょうがないという満面の笑みで弾むように登場し、世界を驚かせた。そう、だから勝てたのだと誰もが確信した。笑顔のとてつもないパワーに鳥肌が立ったほど。理屈をいくら聞いてもピンとこなかった笑顔の効用が、最高の笑顔を持つ人たちをひと目見ただけで120%信じられる。笑顔も中途半端ではいけない。このアスリートたちのように、惜しみなく溢れさせるほどに、やはり最強の力を持つこと、思い知ったのである。

齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。