Beauty
2022.04.19

齋藤薫の美しい歳の重ね方
他者への怒りや反論は、"送信されない下書き"に書きなぐる癖が効く

悩みは、紙に書くと和らぐ……。それは文章にすることで、気持ちが整理され、さらに書かれたものを改めて読むことで冷静さが生まれ、それだけでスッキリしてしまうという仕組み。悩みは往々にしてぼんやりしており、曖昧(あいまい)なまま悶々(もんもん)と悩んでいるから、いつまでたっても解決しない。それを紙に書くことで、自分が何を悩んでいるのか、その焦点が明快になるから、同じくぼんやりしていた解決法も見えてくる。いや悩んでも仕方のない悩みだったりすることも、文章にすると明らかになるからこそ、少し楽になるのだ。

誰かに対する嫉妬やコンプレックスも、紙に書くと何だか恥ずかしくなるもの。大体が嫉妬やコンプレックスに解決法はなく、書くだけで気がすんで、もう意味のない劣等感を持つのはやめようと思えてくる。

実はさらに効果的なのが、人間関係のひずみをメールの下書きだけで処理すること。もめ事、怒り、文句、ともかくひとこと言ってやりたいと思う時、昔のように勇気をふりしぼって電話をしたり、手紙を書いたりという手間が必要ない分だけ衝動的に、メールやラインでアッという間に気持ちを伝えてしまいがち。間を置かないから、内容もストレートになりがちだ。勢いに任せて言葉を発し、後で後悔する頻度も増えていたりして。

だから、メールの下書きを使う。それこそ思うままを書き留めるのだ。反論でも罵倒でも。そして1時間後、いや10分でもいい、言葉を寝かせてから送信するか否かを考える。ほとんどの場合、書いただけで気が済んでしまうはずなのだ。自分の感情を活字にして眺めると、手書きの手紙以上に客観的に冷静に、自分の考えを見直せるから。送信一つで相手に届いてしまう緊張感もまた効果的。

そもそもが怒りは時間を経るほどに、腫れがひくように収まり、相手に伝えるまでもないかもと思えてくる。だから目の前にいる家族への怒りも下書きに書きなぐる癖をつけると、不思議なほどガス抜きになることに気づくはずなのだ。「もっと手伝え、ヒマ夫!」となるべく乱暴に。で、収まったら"削除"。

厄介な人間関係を抱えている人ほど、気持ちの浄化に、これを強くお勧めしたい。

齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。『“一生美人”力』ほか著書多数。Yahoo!ニュース「個人」でコラム執筆中。