Beauty
2022.10.27

齋藤薫の美しい歳の重ね方
歌いながら料理する……みたいな"ながら行動"を心がける日常が、
将来的に、脳トレよりも若く生きられるという法則

難関大学合格の秘訣(ひけつ)は、リビングでの勉強……この話が一時期大きな話題になっていた。実際に合格者の8割前後がリビング学習をしていたとのデータもあるほど。一瞬不可解に思うものの、理論立てていくと非常に納得できる。単純に、親の目が行き届く上に、生活感や雑音の中で勉強するほどに集中力が養われ、また、賑(にぎ)やかで楽しいリビングから、静かで楽しくない勉強部屋へ行くときのハードルの高さ、それがストレスを溜(た)めさせ勉強嫌いになるケースが少なくないとか。楽しい気分のまま勉強に入ることが重要なのである。

自分も、たった一つの特技が"ながら仕事"ができること。褒められたことではないけれど、テレビを見ながら原稿を書くのが自分のスタイルになってしまっている。そうなったきっかけも、仕事場にこもって仕事をするのが楽しくないから。なんらかの賑わいの中で仕事をしているのが心地良かったから。結局人間、最終的に楽しくないと、良い結果は出せないなんて、自分に言い訳していたほど。

ただ最近になって、"ながら仕事"の効用が一つ増えた。30代後半から衰えていく可能性が指摘される脳、その活性に"ながら"が効果的とされるのだ。例えば、歌の練習をしながら料理する。英語の聞き流しをしながらストレッチする。ジョギングしながら、しりとりするみたいなこと。ゴルフのようにコミュニケーションしながら運動するようなものは本来が"ながら"、つまりは軽い体の運動と軽い脳の運動を同時に行うことが脳活に極めて効果的ということ。楽譜を見ながら手を動かして音にしていく楽器演奏もまたしかり。脳活など遠い先の話という世代も、普段から"ながら行動"を習慣にすると20年後30年後の人生が俄然(がぜん)楽しいものになるはずなのだ。どちらにせよ、早いうちのスタートが重要。ただマルチタスクな仕事の仕方、つまり同時に二つの内容の仕事をこなすのは脳科学的にあまり良くないと言われるが、"TVを見ながら仕事"的に脳が疲れない程度に楽しく脳を動かすのは悪いことでは無いらしい。

体と心と脳……そのどれもが健康でないと、100年人生は充実しないと誰もが知っている。体は適度な運動、心は趣味と友達で何とかなりそうだけれど、脳のトレーニングは一番難しい。いわゆる脳トレもいいけれど、もっと日常生活に根ざした、言うならば体と心と脳、三つとも一緒に動くような日常を送ること。いかに心が激しく動いたとしても、海外ドラマを一日中どっぷり見続けてしまうような日々を送るのはやっぱり老化に繫がるわけで、体と脳も同時に動かす心がけ、ぜひとも今から始めてほしい。

齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。最新刊『“一生美人”力セカンドステージ──63の気づき』(朝日新聞出版)ほか著書多数。