齋藤薫の美しい歳の重ね方
一日三つ、今日あった良いことをメモするためB6ノートを買おう
B6の掌(てのひら)サイズのメモ帳が話題だ。説明するまでもなく、サッカー世界選手権大会で日本代表監督がメモを取る姿があまりに印象的だったから。そう言えば、メモ帳って長らく使っていない、いやそもそもメモを取る習慣がなくなったという人が少なくないから。スマホにメモ機能はあるものの、やっぱり白い罫紙(けいし)を目にした時の何やら書きたくなる衝動はそこにはなく……。そんなこんなで、思わずB6ノートを買ってしまった人もいるはずなのだ。
では何を書くか? もちろん会議中のメモに使ってもいいが、せっかくのノート、幸せを呼ぶ、こんな使い方はどうだろう。ポジティブ心理学のポピュラーな提案に「3 Good Things」というものがある。良いこと三つ……まさしく今日あった"良いこと"を三つ、夜寝る前にノートに綴(つづ)ること。厳密には、"なぜそういう状況に至ったか?"ということまでを書くのが一つのセラピーとなっているようだが、そこまでしなくても、ただ良いことを書き出すだけでいいと思う。なぜなら、自分の日常には良いことがたくさん起きているという事実に気づくことこそが大切だから。
最近の幸福論は、"自分は大して幸せではないと思い込んでいる人も、実は小さな幸せ感に包まれて生きているのに、それになかなか気づけないでいる"という考え方がベースになっている。つまり、実はこんな些細なことも幸福感になるのだという発見を日々続けることが、そのまま自分の幸福感につながるからなのだ。例えば「街を歩いていて、自分が落とした手袋を拾ってくれた人がいた」は、良いことの一つだけれど、逆に自分が誰かの落とし物を拾ってあげて感謝されることも、立派に良いこと。「今朝、部屋に差し込んだ光がとてもキレイだった」ことや「今日行ったコンビニのレジの人がとても感じが良かった」みたいなことすら、良いことに計上され、日常生活が実は幸せでいっぱいだったことをやがて知ることになるはずなのだ。
"一日三つ"という約束も、一つではなく幾つも出すことで、意外な幸せに惜しみなく気づくため。時々メモを見直して嬉しくなるため。やってみてほしい。
齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。最新刊『“一生美人”力セカンドステージ──63の気づき』(朝日新聞出版)ほか著書多数。
