Beauty
2023.05.25

齋藤薫の美しい歳の重ね方
「面倒くさがることをやめよう」と、自分に言い聞かせると人生が変わる

ある集まりに、遠くから駆けつけた人がこう言った。「面倒くさがることを、やめたの」。そこに居合わせた全員が申し合わせたように声を揃(そろ)え「面倒くさがることをやめる!」と、その言葉を復唱したのだ。不思議なもので、人は極めて大切なことを耳にすると、それを声でなぞってみたくなる。おそらく全員がそう思い、無意識に声に出したのだろう。

そう、近頃いろんなことが面倒くさい。お茶を入れることから、新しい人付き合いまで、ひどく腰が重くなった。でも面倒がらない人は幾つになろうと面倒がらない。またそういう人ほど若々しい。結局のところ、歳(とし)を取る人と取らない人の差は、そこなのだ。

ただ「諦めてはダメ」という提案は繰り返しされているのに、「面倒がってはダメ」というメッセージはあまり聞かれない。ひょっとすると、億劫(おっくう)がらないことの方が先かもしれないのに。面倒がるから、諦めが早くなるといってもいいからだ。

で、面倒がらない人って何が違うのかと言えば、一つは足腰の筋肉の差。何かを思い立った時、ソファからすぐ立ち上がれるかどうかが決め手になるから。でも同時に気持ちの上でも、エイッと立ち上がるエネルギーがないとダメ。肉体と精神が揃わないと。その時、功を奏するのが「面倒くさがるのをやめる」というスローガン。いやいやここで面倒がったら人生がどんどん縮こまってしまうと、自分を鼓舞する心の筋肉が必要なのだ。だから、心の中で「面倒がらないキャンペーン」を始めよう。声に出してもいい、自らに囁(ささや)くのでもいい。「面倒がるのをやめよう」と。この習慣が、じつは後半の人生を変えるほど、よく効くのである。

齋藤 薫 さん
美容ジャーナリスト/エッセイスト

さいとう・かおる 女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイスト。多数の連載エッセーを持つ他、美容記事の企画、化粧品開発・アドバイザーなど幅広く活躍中。最新刊『“一生美人”力セカンドステージ──63の気づき』(朝日新聞出版)ほか著書多数。