Recipe
2017.07.13

コウケンテツの“アジアの台所から”
[台湾 蘭嶼島]結果が全てではない

(料理:コウケンテツ/撮影:キッチンミノル)

神の魚。蘭嶼島に古くから住まわれているタオ族の人々はトビウオのことをこう呼ぶ。そんなトビウオの漁はまるで神との対話のようだ。そこには厳格なルールが存在する。

ルールその一。トビウオが獲れた時に大声を出すべからず。ルールその二。さばく時には3カ所斜めに切り込みを入れるべし。ルールその三。煮る時は海水で煮るべし。このルールを守れないのならば漁をする、食べる資格もない。

地元の漁師の施さんのご指導を仰ぎ、タタラ船と呼ばれるタオ族伝統の小さな手漕(てこ)ぎのトビウオ漁船で海に出る。真夜中の海で4時間以上波と格闘しながらも、本日の収穫は我々2人でたったの1尾……。悲観にくれる僕に、施さんは静かにこう言う。「トビウオを食べる時は自分自身を祝福しなさい。そして神様がくれた運命の巡り合わせに感謝しなさい」。

たった1尾のトビウオを海水で煮、施さんは厳かに半分に分けてくれた。これが我々の食べ方だよ(笑)と。伝統を尊び、全てを分かち合うタオの生き方を、神の魚を通して教えていただいた。

水煮飛魚(トビウオの水煮)

作り方(1人分)

  1. トビウオ1尾はウロコと内臓を取り、身に斜めに3カ所切り込みを入れる。
  2. 鍋に水1リットルと塩大さじ2を入れて沸かし、1を静かに入れる。
  3. 蓋をして5分ほど煮る。取り出して器に盛る。

コウケンテツ
大阪府出身。テレビ、雑誌、講演会など多方面で活躍中。2児の父でもあり、親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通してのコミュニケーションを広げる活動に尽力。