Recipe
2019.04.11

コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
ふぐ<いわし!

大分で出会って以来、一人酒の定番肴「いわしの蒲焼き」。

何が至福かと聞かれると、出張先で気ままに飲んだくれるひとり酒と答える。

あの日もそんな夜だった。遅めの便で大分入りし、ホテルに着いたのは22時を回ったころ。残念ながら時間的に近辺の店はほとんど店じまい。仕方あるまい、パトロールに繰り出すとするか。ふらふら歩いて10分もしないうちに、暗がりにぼんやり浮かぶ赤提灯発見。近づくといわし料理と書いてある。ピンときた僕は戸をガラリ。ほどよく薄暗い店内にはお客さんは、カウンターのなんだか品の良いおじさまがひとりだけ。

「もうすぐ閉店やけど、ま、ゆっくりしていき~」(※便宜上、関西弁表記だけど本当はコテコテの大分弁だよ)一見するとコワモテの大将の優しいお言葉に甘えて、小上がりに陣取ることに。冷えたビールと共に出てきたのが「いわしの真子と肝の煮付け」。これがくさみもなく、絶妙にうまい! 名店の予感的中に気を良くした僕はついつい酒がすすむすすむ。そんな様子を見ていた例のカウンターのおじさまが「気持ちよく飲むね~」と。ロマンスグレーの頭髪、雰囲気からして年の頃は60前くらいだろうか? 物腰が柔らかく、いわゆる成功者の余裕というものが感じられる。地元の名士?と思ったら別府で開業医をされているらしい。どうりでね(笑)

これも何かのご縁、ということで相席させていただくことに。オススメのジューシーな蒲焼きをつまみながら杯を交わし、このいわし専門店が30年続く名店で、市内に出張にきた時には必ず立ち寄ること、大分は食材の宝庫だけど、実はいわしが美味しいこと、他には料理とマラソンが大好きなどなど教えてくれた。すると「なんや盛り上がっとるやないか」(ここも本当は大分弁だよ)とくわえタバコ&徳利片手に大将も参戦。

やがて、「別府に来たときはふぐをご馳走するよ!ここのいわしの方がうまいけどね」と先生、爽やかに去って行った。ひとり酒からの~、こんな出会いがやっぱり一番の至福のひとときなんだな。

いわしのかば焼き

材料(2人分)

  • いわしの三枚おろし…2~3尾分
  • ミョウガ…2個
  • しょうが…1片
  • 酢、砂糖…各大さじ1
  • 塩、薄力粉、サラダ油…各適宜

{A}

  • しょう油…大さじ1
  • 酒、砂糖…各大さじ1/2

作り方

  1. いわしは塩を軽くし、水気を拭いて、薄力粉を薄くまぶす。サラダ油を熱したフライパンでいわしの両面をこんがりと焼く。余分な油を拭いて、{A}を合わせてまわしかけてからめる。
  2. ミョウガは小口切りにし、酢、砂糖、塩適宜で和える。
  3. 1を器に盛り、2、しょうがの千切りを添える。

(料理:コウケンテツ/撮影:在本彌生)

コウケンテツ
大阪府出身。テレビ、雑誌、講演会など多方面で活躍中。3児の父でもあり、親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通してのコミュニケーションを広げる活動に尽力。