コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
2日目以降の楽しみ

カツオの唐揚げ。
有り難いことに、海外だけでなく国内の取材もさせていただく機会も多く、生産者の皆様のご苦労や熱い想いをうかがって胸を打たれたり、その地域ならではの食材の扱い方、食べ方など学べたり、これは本当に料理家冥利(みょうり)に尽きる。
たとえば、10年以上前に千葉の銚子で取材した時のこと。漁師さんが初ガツオの刺身をマヨしょうゆで食べていたのは驚きだった。漁師さん曰(いわ)く、淡白なこの時期のカツオは旨味を補うとうまい!とのこと。なるほど、これは理にかなっている。
さらにカツオの本場、高知で出会ったのが今回紹介するレシピだ。地元の方に愛されている、まさに吉田類さんがカウンターで一人飲みされている感満載のお店を訪れた時。おすすめメニューにあった「唐揚げ」を頼むと、なんとそれがカツオの唐揚げだった。え~!? それこそ素材ぶち壊し感がハンパないぞ!と心の中で叫んだ我々だが、数秒後に黙り込んだ。う、うまい……。
衣を纏(まと)い、高温の油でさっと揚げることで風味と旨みを同時に閉じ込めてくれている。脂が乗っていない時期でも、これならお酒のアテやおかずとしても十分にいける。わたしにとっては“カツオ事変”とも言える衝撃の出来事だった。それ以降、カツオの唐揚げは我が家でもド定番に。カツオを2柵(さく)買い、初日はそのまま刺身やタタキで食して余りを漬けにする。翌日は半量を漬けに、残りを唐揚げでいただく。こうしてわたしは煮付けやおでん、シチューやカレー以外に、2日目以降のおいしい楽しみ方に出会った。これだから取材はやめられないんだよね~。
カツオの唐揚げ
<材料>
- カツオ…大1柵
- インゲン…8本ほど
- にんにく(輪切り)…1片分
- 片栗粉、しょうゆ、酢、揚げ油…各適宜
[下味]
- しょうゆ…大さじ2
- 酒…大さじ2
- しょうが(すりおろし)…1片分
- ごま油…大さじ1
<作り方>
- カツオは食べやすい大きさに切り、[下味]をからめて10分ほどおく。
- インゲンは揚げ油でさっと揚げる。
- カツオに片栗粉をまぶし、190~200度の高温の揚げ油でからりと揚げて油をきる。
- 器に盛って、にんにくをちらし、しょうゆと酢を少量回しかける。
(料理:コウケンテツ/撮影:在本彌生)

コウケンテツ
大阪府出身。テレビ、雑誌、講演会など多方面で活躍中。3児の父でもあり、親子の食育、男性の家事・育児参加、食を通してのコミュニケーションを広げる活動に尽力。
