コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
その名はジョセ・クルース

「どうだ! オレの作る料理は全部うまいだろ!ジョセ料理作る人!家族は食べる人!」
豪快に笑い飛ばす70歳を超えても筋骨隆々な素敵なおじ様。
ポルトガルのクラトラ島。オリャンという最南端の街から水上タクシーで15分。6平方キロメートルの小さな島。島民のほとんどは漁師さんというこれまた風変わりな島。
その島で伝説の漁師と名高いのが、ジョセ・クルースさんだ。私の手の2倍はあろうグローブのような大きな手で、イカ、アジを焼き、アンコウの鍋を手際良く作っていく。
「おい、コウ! この鍋を見てみろよ」ジョセさんが持ってきたのは、見たこともない銅製の円盤形の鍋(右上写真)。これは親の代からずっと使ってるんだぜ、と言いながら、大量のにんにく、獲れたてのアサリとエビを放り込み、ぴったりと蓋を閉めて蒸す。
なるほど、無水鍋と同じ原理だな。ふっくら蒸し上がった魚介はなんともいえない旨みがある。なぜ伝説の漁師さんなの?? と聞く私に、 「いいからもっと食って呑め!」夏の日差しの暑さに汗だくになったジョセさんは、ポロシャツを脱ぎ、上半身裸でさらに魚を焼いていく。
本当に70代なの!? と思ってしまうような惚れぼれする背中は、でかい手と同様に傷だらけだった。汗だくで料理をするジョセおじいちゃんを誇らしげに眺めているお孫さんたち。野暮なことを聞いてごめんなさい。その太い腕一本で一族を支えてきたんだね。
「オレたちず〜っと親友だぜ!」と言ってくれたジョセさん。そこは息子じゃないんだね(笑)
あさりの白ワイン蒸し
(ポルトガルの漁師さんのシンプルバージョン)
<材料>(2~3人分)
- あさり(砂抜きしたもの)…300g
- 小エビ…適量(たっぷりめに)
- 白ワイン(または日本酒)…大さじ2~3ほど
- にんにく…5~6粒
- 塩…適宜
<作り方>
- 鍋に、包丁の背で叩いて潰したにんにくを入れ、さらにあさり、エビを加えたら上から白ワインを回しかけ、蓋をして、あさりの口が開くまで中弱火で蒸す。
- あさりの口が開いたら、塩をふって味を調え、鍋ごとテーブルに。
※汁もおいしいので、スプーンですくって飲むか、パンやごはんを浸して食べる。
(料理・文:コウケンテツ/撮影:在本彌生)
コウケンテツ さん

コウ・ケンテツ 3児の父親として子育て、食育にも尽力。You TubeでKoh Kentetsu Kitchen(料理研究家コウケンテツ公式チャンネル)を開設中。
