コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
パリ、若き恋人たちは今
「サバのマスタードソテー。好みのマスタードをたっぷりめに使ってください。セロリアックのソースを作らなくても、オリーブオイルをかければ十分においしいです!」(コウケンテツ)
パリ市では、住宅の約97%(コウケンテツ調べ)は19世紀のたたずまいがそのまま残る美しいアパルトマンだという。その1軒にお邪魔した時のこと。
そこに暮らすのは、共に20代のエマニエルとエイドリアン。若きコルセットデザイナーのエマニエルは、自宅の小さいけれど抜群に使い勝手が良さそうなアトリエで、注文に応じてデザインから仕上げまで全ての工程をひとりでハンドメイドで仕上げる。
「裁縫(さいほう)上手な母や祖母が、私が小さいころから美しい刺繡(ししゅう)やレースをいろいろ見せてくれたの。そんな昔ながらの伝統的なものを生かしながら、私らしいオリジナリティーを組み合わせているの」(エマニエル)
そんな彼女の日々のごはんは本当に質素。昼も夜もチーズとサラダでさっと済ませる。パリは物価も家賃も世界トップレベルに高い。節約できるところはうんと節約するのが、パリのベーシックな生活スタイルだ。
「ここで暮らしているとレジャーなんてとても無理。休日も外食なんてしないわ。でも世界から注目をされるのが一番の強みね。あとはできるだけ体に良い食材で、彼と料理して食べるのが最高に幸せ♡」とほほ笑む。
エイドリアンは数年前からレストランで料理人として働いている。この日も彼女のためにいろんなアイデア料理を披露してくれた。得意のサバのマスタードソテーに添えるセロリアック(根セロリ)のソースは、エマニエルの故郷のブルターニュの塩を利かせていた。「彼女がいつでもリラックスできるように、ブルターニュのものをできるだけ使うんだ」だって。なんと細やかな配慮!
ふたりには将来パリでそれぞれのお店を出すという夢がある。未来を見据えて着実に歩む、ふたりの堅実ながら愛にあふれる暮らしに心がぬくもったひと時だった。
サバのマスタードソテー
材料(1人分)
- サバの三枚おろし…半身分
- マスタード(好みのもので)…大さじ1ほど
- ミックスリーフ…適宜
- オリーブオイル、塩、こしょう…各適宜
作り方
- サバは皮目の全面にマスタードを塗り、オリーブオイルをしいて温めたフライパンで、両面をこんがりと焼く。
- 洗って水けをしっかりきったミックスリーフはオリーブオイル、塩、こしょうをして、軽く和える。
- 皿に1を盛り付け、2を添える。
(料理・文:コウケンテツ/撮影:在本彌生)
コウケンテツ さん

コウ・ケンテツ 3児の父親として子育て、食育にも尽力。You TubeでKoh Kentetsu Kitchen(料理研究家コウケンテツ公式チャンネル)を開設中。
