Recipe
2020.12.21

コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
時空を超えたシードルのお味は?

名づけて「チキンのシードルオーブン焼き」。クリスマスにぜひ!

17世紀のフランス。ルイ14世の命を受けたダルタニャンは、財務卿(ざいむきょう)ニコラ・フーケの所領、ブルターニュはベル=イール=アン=メール(海に浮かぶ美しい島という意味)に偵察に赴く。貴族の執事に変装したダルタニャンは、聞き込み調査の最中、風変わりな印刷器具を持ち歩く人物と食事を共にする。その際に彼らが飲んでいたのが、ブルターニュの特産品のシードルだ。アレクサンドル・デュマ著『ダルタニャン物語』の「ノートル・ダムの居酒屋」のワンシーンである。

そのシードルを彼は「美味しくともなんともない」などと表現しているが、これは大美食家であるデュマの嗜好(しこう)が反映されているのだろう。

時は流れ、豪雪に見舞われた2018年1月のブルターニュはコルヌアイユにて。

地元のりんご農家さんの醸造所で、本場のシードルを味わえる幸運に恵まれたわたしの感激っぷりは言葉では表現できない。

シードルに使うりんごは、苦み、甘み、その中間の3種類をブレンド。熟成期間を長くすることで独特の苦みが増す。「この苦みが命なんだ」と農園を経営するスティーブンさんが言う。この甘み、酸味、苦みのバランスが素晴らしく美味しい!しかし、シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ロワールのアンジューの古酒をこよなく愛するダルタニャンからすると、ちょいと物足りなく感じたのかしら。

今回はシードルを使った最高のチキンのオーブン焼きをご紹介。ぜひ甘くない苦みの利いたシードルを買って、クリスマスに作ってほしいな。

チキンのシードルオーブン焼き

材料(2人分)

  • 骨付き鶏もも肉…2本
  • りんご…1個
  • エシャロット(ミョウガでも代用できます)…3個
  • バター…40g
  • サラダ油…大さじ1
  • 酒(あればガルバドス、ウィスキーなど)…大さじ2~3
  • シードル…300mlほど
  • ローズマリー…2枝ほど
  • じゃがいも(茹でたメークインがおすすめ)…2個
  • 塩…適宜

作り方

  1. 骨付き鶏もも肉を軟骨の部分で半分に切る。エシャロット(またはミョウガ)は輪切りにする。
  2. フライパンにサラダ油、バターを熱し、1の鶏もも肉をこんがりと焼く。エシャロット(またはミョウガ)を加えてさっと炒め、酒を加えて、強火でアルコールを飛ばす。
  3. 塩で調味し、シードルを加えてさっと軽く煮詰める。
  4. 耐熱容器に3をのせ、食べやすく切ったりんごをのせ、200℃のオーブンで20分ほど焼く。器に盛ってじゃがいもを添える。

(撮影:在本彌生/料理・文:コウケンテツ)

コウケンテツ さん

コウ・ケンテツ 3児の父親として子育て、食育にも尽力。You TubeでKoh Kentetsu Kitchen(料理研究家コウケンテツ公式チャンネル)を開設中。「ボンマルシェ」の連載“アジアの台所から”(2016年4月~2019年3月)に大幅加筆収録した新刊、初旅エッセイ『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』他著書多数。