コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
大人の階段昇る激辛ホルモンカレー
ここでは、牛の小腸を使いましたが、好みの部位でどうぞ。玉ねぎとごぼうが味に奥行きを出してくれる。
子どもの頃。家族と親戚が連れ立って焼き肉に行くと、必ず大人チームとキッズチームの別編成を組んで、お肉を焼いて食べていた。なぜなら、大人たちはホルモンしか食べなかったからだ。
なぜ彼らはあんな得体(えたい)の知れないモノを食べるのだろう。訝(いぶか)しがる我々を尻目に、彼らは大量のホルモンを焼いて焼いて焼きまくる……。
僕がまだ小学校2年生くらいだったある日。親戚のお兄さん(通称松井兄ちゃん)が勤める工場に遊びに行った時のこと。小さな工場の隅っこで、一心不乱に当時人気だったプラモデルの部品を組み立てていると、優しい松井兄ちゃんがお昼に誘ってくれた。スパイシーな香りの誘惑に負け、ありがたく一緒にいただくことに。僕の目の前にどん! と置かれたのは、大量のごはんに無造作によそわれた兄ちゃん特製カレー。
ん? いつものカレーのお肉と違うぞ。これは……ホルモンではないか! なぜカレーにまでホルモンを?? しかし、せっかく作ってもらったのに躊躇(ちゅうちょ)なんてしてられない。ええい、ままよ!と意を決してひと口。ほどよく煮込まれたぷるんぷるんのホルモンにしみ込むカレー味。美味(うま)すぎる! からの激辛味に悶絶(もんぜつ)する僕。しかしこれが後をひくおいしさで、福神漬け(ちなみにこれも初体験)の甘みに助けられながらなんとか完食。
「これでお前も大人やな」と頭をなでてくれた松井兄ちゃん。舌がビリビリ痺(しび)れながらもなんだか誇らしい気持ちになった、思い出のカレー。こうして僕は、次の焼き肉から見事飛び級で大人チーム入りを果たし、今ではすっかり名誉会長よ☆
牛モツカレー
材料(2~3人分)
- 好みの牛モツ…300g
- 玉ねぎ…1個
- ごぼう…1/2本
- 好みのカレールー(辛口)…2片ほど
- サラダ油…適宜
- カレー粉…大さじ1ほど
- 粉唐辛子(一味、チリペッパーなど)…適宜
<A>
- 酒…1/4カップ
- みそ…大さじ1~2
- しょうが(千切り)…2片分ほど
作り方
- 牛モツはさっと洗って熱湯で3分ほどゆで、ざるにあげ、さっと水洗いしておく。
- 玉ねぎは2㎝角に切る。ごぼうはささがきにして水にさらし、水けを切っておく。
- 鍋にサラダ油大さじ1を熱し、2の玉ねぎをやわらかくなるまで炒め、水300ml(分量外/カレールーの箱の分量を参考にしてください)を加えて煮立たせたら、さらに2~3分ほど煮る。火を止めてカレールーを割り入れて溶かす。再度、弱火で煮る。
- フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、2のごぼうを炒め、油がなじんだら、1の牛モツ、カレー粉を加えてさっと炒め、<A>を加えて軽く煮詰める。
- 4を3の鍋に加え、好みの量の粉唐辛子を加えて10分ほど煮る。
- ごはん、5のカレーを器に盛り、唐辛子(分量外)を散らす。
(撮影:在本彌生/料理・文:コウケンテツ)
コウケンテツ さん

コウ・ケンテツ 3児の父親として子育て、食育にも尽力。You TubeでKoh Kentetsu Kitchen(料理研究家コウケンテツ公式チャンネル)を開設中。「ボンマルシェ」の連載“アジアの台所から”(2016年4月~2019年3月)に大幅加筆収録した新刊、初旅エッセイ『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』他著書多数。
