Recipe
2021.05.26

コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
ナントのクレープ通りにて

そば粉を使ったガレットもいいけど、小麦粉で作るクレープもいい! 今の季節はレモンの爽やかな風味でいただく「レモンバタークレープ」を。

1598年。アンリ4世は長きにわたるキリスト教新旧両派の宗教戦争である、ユグノー戦争を終結すべく、かの「ナントの勅令」を発布した。

今や文化発信の街として名高いナント。僕のお目当ては年に一度開催される、フランス最大級の音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」。ナント国際会議場に足を運び、一日中クラシックのシャワーを浴びまくった。その後、空腹を満たすべく街をぐるぐる巡っていたら、いたるところに「crêperie(クレープ専門店)」の看板があるのを発見。なぜナントにブルターニュの名物のお店がこんなにも??

ナントは地理的にも歴史的にもブルターニュとの縁が深く、食文化も共通点が多いという。なるほどね。

グレーを基調とするシックな外装ながらも、なんだか家庭的な雰囲気のお店にin!

早速「コンプレット」という、卵、ハム、チーズの定番のガレットをいただく。専用の丸く分厚い鉄板でパリッパリに焼かれたそば粉の香ばしさったら、衝撃的!

この地にお店を開いて5年目の若きオーナーシェフのジャンさんは、ブルターニュ出身。お店で使う材料は、すべてブルターニュ産のものというこだわりよう。どうりでこの美味(おい)しさを出せるわけね。

ブルターニュ産のそば粉とゲランドのお塩(私も愛用しております)に水。配合は彼の祖母の秘伝のレシピをアレンジしているという。将来は地元でお店を出すという夢を持つジャンさん。帰り際、試作段階のこだわりがうんとつまった最高のシードルを特別に持たせてくれた。なんて優しいの……。「また来てくれよ!」と、郷土愛と家族愛に満ちたジャンさん。

彼ならきっとこの大変な現状を乗り越えて、逞(たくま)しく未来を切り開いているに違いない。

レモンバタークレープ

材料(1回に焼きやすい分量)

  • レモン(くし形切り、皮)…適宜
  • バター、グラニュー糖…各適宜
  • サラダ油…適宜

<クレープ生地>

  • 薄力粉…100g
  • 片栗粉…大さじ1
  • グラニュー糖…大さじ1〜2
  • 溶き卵…1個分
  • 牛乳…1カップ
  • 塩…少々

作り方

  1. クレープ生地を作る。ボウルに薄力粉、片栗粉、グラニュー糖、塩を合わせて、さっとふるいにかける。溶き卵、牛乳の順に、各々少しずつ加え混ぜる。ここでいったんこして、全体をなめらかにする。
  2. フライパンにサラダ油を薄く塗り、弱めの中火で熱し、1をおたま1杯分強、流し入れ、おたまの底で薄い円形に広げる。うっすらと焼き色がついてきたら裏返してさっと焼き、取り出す。残りも同様に焼く。
  3. 2のクレープを各々4つ折りにして器に盛り、グラニュー糖、レモンの皮をちらし、バターをのせ、レモンのくし形切りを添える。好みでレモンをしぼりかけながらいただく。

(料理・文:コウケンテツ/撮影:在本彌生)

コウケンテツ さん

コウ・ケンテツ 1974年、大阪生まれ。料理研究家。世界30カ国以上を旅して料理を学んだ経験を持つ。3児の父として親子の食育活動に奮闘中。『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』他著書多数。料理家ユーチューバーとしても活躍中。