コウケンテツの“食は人なり 出会いなり”
手作りマヨの威力
サワラの白ワイン蒸しに、手作りマヨ。仕上げは粗びき黒こしょうをひとふり。
そのシェフはこう言った。「ママンの作るアイオリソースは世界一だ。俺なんて到底かなわない」と。そしてそのアイオリソースを軽く蒸した白身魚にペタリと塗り、口へ運ぶ。すかさず程よいサイズにちぎったバゲットもポイッと口内へ。さらに地酒の白ワインをクイッとひと口。その一連の動作はクイックかつ優雅に、そして確実に行われた。瞳を閉じて、究極の味わい、悦(よろこ)びをかみしめながらシェフはさらにつぶやく。
「これこそが料理なんだ」と。
これは今から25〜26年くらい前? たまたま観(み)た、パリの有名シェフが故郷のプロヴァンスに里帰りし、地元の料理を紹介するといった内容の番組内のひとコマです(僕の記憶が確かならば……)
こうして僕はお酒と料理の〝マリアージュ〟という言葉と、最強の手作りマヨネーズソース(アイオリソース)に出合った。
手作りマヨは、どんなオイル、塩、酢を使うか、しかもそれぞれのバランスで全く別物になる。本場のアイオリソースはニンニクの量が半端なく多いが、僕はほんのり香るくらいが好き。もちろんニンニクなしのプレーンなマヨも良いね。ひたすら混ぜて乳化させるのはひと苦労だが、その分食卓に大きな発見と悦びをもたらしてくれるのは間違いないのです。
ハーブやスパイスを加えても良いし、練りがらしやワサビをプラスするのもあり。サラダのドレッシング、煮込み料理やスープの仕上げにと大活躍。一番嬉(うれ)しいのが、この手作りマヨさえあれば味つけ不要! という最高の副産物がもれなく付いてきます。焼いただけ、ゆでただけのお肉、お魚、野菜に添えればそれだけでもうお店の味! ぜひ自分なりの手作りマヨを楽しんでくださいね。
魚のバターワイン蒸し、手作りマヨネーズ(アイオリソース)
材料(2人分)
- サワラ…2切れ
- 卵黄…2個
- ニンニク(すりおろし)…少々
- オリーブオイル…150ml
- 塩…ふたつまみほど
- バター…20g
- 白ワイン…大さじ4
- 粗挽き黒こしょう…適宜
作り方
-
ボールに卵黄、ニンニク、塩を加えてクリーム状になるまでしっかりと混ぜる。オリーブオイルを少しずつ加えながらしっかりもったりとなるまで混ぜて冷蔵庫で冷やしておく。

-
フライパンにバターを加えて熱し、サワラをのせる。白ワインを加えてふつふつと煮立ってきたら蓋をして、5〜6分ほど蒸し煮にして火を止める。

- 2を器に盛って粗挽き黒こしょうをちらす。1をつけながら食べる。
(料理・文:コウケンテツ/撮影:在本彌生)
コウケンテツ さん

コウ・ケンテツ 1974年、大阪生まれ。料理研究家。世界30カ国以上を旅して料理を学んだ経験を持つ。3児の父として親子の食育活動に奮闘中。『アジアの台所に立つとすべてがゆるされる気がした』他著書多数。料理家ユーチューバーとしても活躍中。
