発酵のチカラで猛暑を乗り切る 夏こそ、甘酒!

江戸時代には夏に愛飲され、“飲む点滴”と言われる甘酒。簡単で栄養いっぱいの甘酒の作り方と、甘酒を使ったレシピを“発酵王子”こと伏木暢顕さんに教えていただきました。
(撮影:大泉省吾/調理・スタイリング:伏木暢顕/取材・文:安藤菜穂子)
夏こそ発酵食品を!夏バテ予防にもおすすめですよ
教えて下さったのは 伏木 暢顕さん

ふしき・のぶあき
醸造料理人。料理人として活躍後、麹(こうじ)の力に惚(ほ)れ込み独学で学ぶ。国内外での講演会やワークショップ、フードコンサルティングなどを手掛ける。近著は『こうじ甘酒レシピ 作りおき』(小学館)。
発酵食品に注目が集まり、がぜん人気が高まっているのが甘酒。一般に甘酒と呼ばれている飲料には2種類あり、ひとつは、酒粕(さけかす)を水で溶いて砂糖を加えたもの。“飲む点滴”とまで称される甘酒は、もうひとつの、米糀(こうじ)とご飯と水のみを使って発酵させたものを指します。優しい甘みがあり、人間に必要な100種類以上もの酵素が含まれています。「甘酒に含まれる酵素の働きは60℃を超えると減ってしまうため、甘酒の良さを十全に摂(と)り入れるには自家製をおすすめします。炊飯器の保温機能を使うこともできますが、長く使い続けると炊飯の際にご飯に糀の香りが移ってしまうことがあります。最近では専用の家電製品が手頃な価格で販売されるようになりました」と伏木暢顕さん。
甘酒に含まれる栄養素は、タンパク質や脂肪を分解する酵素、ビタミンB群、必須アミノ酸、抗酸化物質など。期待される効能はさまざまにありますが、“薬ではない”と伏木さんは言います。
「消化や美肌にいい、体のリズムが整うなど、さまざまなことが言われていますし、自分でも実感していますが、大切なのは、何かあったときの対処として飲むのではなく、習慣にすること。おちょこ1杯を1日に2〜3回、食前や食後に飲むとよいでしょう。江戸時代は、酒宴の前に飲むのが武士のたしなみだったと伝えられています。和食の調味料として合わない料理はほとんどないので、さまざまな料理に加えて摂ることもできます」
保存は、冷蔵庫で。1週間ほどで飲みきるのが理想ですが、とっておきの使い方も。
「1週間を過ぎる頃には乳酸菌が活性化して、酸っぱくなります。そうなったら、私はザルでこして液体だけをお風呂に入れています。体が温まり、肌がつるつるになると家族にも好評です」
自家製甘酒を習慣化して、夏バテ知らずの夏を過ごしましょう。
自分で作る「甘酒」レシピ
【材料】

- 米糀…1合
- ご飯…120g
- 水…350ml

- 鍋にご飯とヒタヒタの水(分量外)を入れ、中火で5分加熱後、フタをして10分蒸らす。
- 60℃まで冷ました1と米糀、水を混ぜ、50〜60℃の温度を保ち、6〜12時間おく。

- 味見をして、甘く感じたら完成!
※甘酒やヨーグルトの専用メーカーが理想的だが、炊飯器の保温機能でも代用可能。その場合は温度を測り、フタを開けて調節して温度を一定に保つことがポイント。
甘酒でヘルシー・レシピ
鶏モモ肉の甘酒漬け
甘酒に含まれる消化酵素の力で鶏肉のタンパク質や脂質が分解されるため、消化しやすい料理に。うま味をプラスする昆布は、出汁(だし)をとった後のものでも昆布茶3gでもOK。
※オーブンレンジもしくはガスコンロのグリルで焼く場合は、皮目を下にして弱火でじっくり焼き、火が通ったら裏返して皮目をパリッと焼く。フライパンで焼く場合は、皮目を下にして中火で皮がパリッとするまで焼いてから、裏返して弱火でじっくり火を通す。
【材料】(1人分)
- 鶏モモ肉…1枚
- 甘酒…大さじ2弱
- だし昆布…2枚
【作り方】
- 鶏モモ肉の水気を切り、ガーゼないしはキッチンペーパーで包む。
- 1の表面全体に薄めに甘酒を塗り、だし昆布2枚ではさむようにして保存袋に入れ、冷蔵庫で1日ほどおく。
- 調理する30分ほど前に冷蔵庫から取り出し、昆布をはずし、香ばしく焼く。
甘酒スムージー
甘酒には含まれないビタミンCが豊富で、消化酵素や食物繊維も含まれているパイナップル。凍らせてミックスすることで、スプーンですくって食べるジェラートのような食感に。
【材料】(1人分)
- 甘酒…100ml
- パイナップル(カットし、凍らせたもの)…200g
【作り方】
- 甘酒とパイナップルを合わせ、ミキサーまたはハンドブレンダーでなめらかになるまで混ぜる。
- 1切れ残しておいたパイナップルを飾る。
甘酒そうめん
市販のめんつゆに甘酒を加えるだけ! コクが増してさらにおいしくいただけます。ポン酢を加えたサッパリ味のごまだれは、好みでニンニクのすりおろしを少量加えても美味。
【材料】(1人分)
[基本のめんつゆ]
- 市販のめんつゆ…150ml
- 甘酒…大さじ1
[ごまだれ]
- 市販のめんつゆ…30ml
- 市販のポン酢…30ml
- すりごま…80g
- しょうが(千切り)…8g
- 水…100ml
- 甘酒…大さじ1
【作り方】
- めんつゆ、ごまだれともに、材料をすべて合わせる。
- そうめんをゆで、好みの薬味を添える。
おいしいTips
“コウジ”って?
米や麦、大豆などにさまざまな分解酵素作用をもつコウジ菌などの微生物を繁殖させたもの。通信販売のほか、味噌(みそ)や日本酒などの蔵の直売店や一部の食材店でも購入可。ちなみに“糀”は明治時代に作られた和製漢字で米コウジのみを指し、“麹”は中国から伝わった漢字で、麦や大豆を含めたコウジ全般を指す。
