Life Style
2018.02.08

愛するチョコレートを深掘り カカオのお勉強

©etranger/a.collectionRF/amanaimages

近ごろ、「シングルオリジン」とよばれる単一産地のカカオ豆が原料のチョコレートや、カカオ豆(Bean)の選定にはじまり板チョコレート(Bar)にするまでの全工程を作り手が一貫して管理・製造する「ビーン・トゥ・バー」が増えている。カカオの産地を明記している商品も増えた。「カカオの味は複雑で、口の中で溶けていく間にどんどん香りが変化して、舌の上からなくなった後も深く、複雑な余韻が残る」(三枝さん)。となれば、やっぱり、カカオにこだわりたくなる。知りたくなる。

(取材・文:木戸美由紀、木村由理江)

カカオ豆はどこからくるの?

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カカオ豆の栽培地は、主に、赤道の南北緯度20度以内、年間平均気温が27℃以上で、年間を通じて温度差が極めて少ない高温多湿な地域。中南米、アフリカ、そして最近、注目が集まるのがアジア。

カカオ豆の主な種類は、香り豊かなクリオロ種、苦みが魅力のフォラステロ種、両種の性質を受け継いだハイブリッドのトリニタリオ種の3種類。

でも、カカオ豆の質と味は、品種と育った土地の自然環境に加えて、発酵、乾燥、貯蔵といった人の手による作業を総合して味が決まるので、ワインやコーヒー、紅茶と同じで、品種や産地だけで選定するのはなかなか難しいと、三枝さん、ルッセルさんともにいう。

興味津々、産地別カカオの特徴は?

1.ガーナ

ガーナ産の、とくにフォラステロ種のカカオは、シンプルで均一なアロマが続くのが特徴。焙煎(ばいせん)により、スパイスや、ビスケットの香りが現れるという。日本人にはなじみのあるカカオの味で、食べると懐かしさを感じる人も多いはず。

2.タンザニア

アフリカの大地のような力強さを感じさせる味が特徴。青リンゴのような、シャープなフルーティさもあって、明確な風味が残る。

3.マダガスカル

アフリカの太陽を浴びて育ち、華やかな酸味とフレッシュさが特徴。フルーティーな味わいもあって食べやすい。最初に酸味を感じ、次にラズベリーや赤スグリ果実、時にはアプリコットやパイナップルのような黄色の果実味が現れる。ベトナム産のカカオが出てくるまでは酸味系の代表的存在だったという。

4.ベトナム

ベリー系の濃厚な酸味があり、味わいも野性味が感じられる。苦みや渋みなどスパイシーな味わいも加わって、インパクトが強い。今までにない味わいで人気上昇中。これからまだまだ伸びていきそうなカカオ。

5.パプアニューギニア

ここでは天日干しでカカオを乾燥させるのが主だが、生産者のなかには薪(お)を焚(た)き、熱で乾燥させる人もいるため、スモーキーな香りが特徴。後味で蜂蜜とレッドベリーの香りを感じることができるという。

6.キューバ

葉巻を思わせるようなスモーキーな香りがあり、ウッディな味わいもある。さらにスパイスや柑橘(かんきつ)系のピールの苦みが感じられるなど個性的。どちらかというと男性的で骨太な味わい。

7.ハイチ

©Meier,Chris/Stockfood /amanaimages

ニュートラルで癖のない味。バニラを思わせる香りで、馴染みのある味。ナッツの強い風味や干した薬草のような後味、余韻がある。食べ慣れているチョコレートに、非常に複雑な味わいが加わったような印象。

8.トリニダード・トバゴ

香木や古木の香りがするなどウッディな味わいがあり、樟脳(しょうのう)、アニス、八角の風味が感じられて非常に個性的。余韻も長い。好き嫌いが分かれるが、食べ慣れると癖になる。

9.ベネズエラ

ナッツの風味が特徴的で、味のバランスが良い。クリオロ種の発祥地。高品質で希少価値が高い“伝説のカカオ”チュアオカカオも栽培。チュアオカカオは複雑で濃厚、エレガントな果実の香りが特徴。

10.ペルー

©Koichi Fujiwara/NATURE’S
PLANET MUSEUM /amanaimages
※画像はイメージです。

同じ国の中でもカカオを収穫した地域で味や香りが異なり、多様性がある。希少かつ上質なクリオロ種も栽培。フレッシュで凝縮した果実味、バナナやレッドベリー、パイナップルといった魅惑的な味の後に、花のような香りが残る味。

教えてださったのは

三枝俊介 さん
さえぐさ・しゅんすけ
人気のショコラティエ。長年のパティシエの後、チョコレートの奥深さに魅了され、ショコラティエに専念「ショコラティエ パレ ド オール」を東京・新丸の内ビルディング1Fほか、銀座、大阪で。「アルチザン パレ ド オール」を東京・南青山、山梨・清里、大阪で。
http://www.palet-dor.com/

クロエ・ドゥートレ=ルッセル さん
チョコレート鑑定家。高級チョコレートメーカー、カカオ豆生産業者など幅広いクライアントを持つ。世界のチョコレート市場やトレンドに関する講演、商品開発のアドバイスなど、パリを拠点に多岐に活躍中。
http://www.chloe-chocolat.com/

お気に入りの板チョコレートで作っちゃおう
フォンダンショコラ

焼きたてのフォンダンショコラを割ると、中からトロリと熱々ショコラが!幸せな瞬間。「砂糖も粉も少なめで。思いきって、『シングルオリジン』や『ビーン・トゥ・バー』で作るのがおすすめ。カカオの味が堪能できます」(若山さん)

(撮影:結城剛太/スタイリング:茂木雅代)

材料(プリン型のような耐熱容器約4個分)

  • チョコレート…100g
  • バター…100g
  • 卵…2個
  • 砂糖…大さじ4
  • 薄力粉…40g

作り方

  1. チョコレートは粗く刻んでおく。バターは2~3cm角に切る。ボウルにバターとチョコレートを入れ、湯せんにかけ、ゴムべらで混ぜながらとかし、粗熱を取る。
  2. 別のボウルに卵、砂糖を入れて泡だて器ですり混ぜ、1を入れ、薄力粉をふるいにかけながら入れて、粉けがなくなるまで混ぜる(粉が少量なのですぐ混ざる)。
  3. 耐熱容器に2を等分に入れ、天板にのせ、180℃に予熱したオーブンで10分ほど焼く。中央がふくらんできたらでき上がりの合図。

作ってくださったのは

若山曜子さん
わかやま・ようこ
大学卒業後、パリのル・コルドン・ブルー、エコール・フェランディに留学。パティシエ、ショコラティエなどのフランス国家資格を取得。現在はテレビ、雑誌など多方面で活躍中。著書多数。