Life Style
2019.04.11

5分の家事でハッピーチャージ!

意識の仕方を変えると、普段の何げない家事の時間がハッピーチャージの時間に変わる!?その基となる“マインドフルネス瞑想”について教えていただき、家も心もスッキリな一挙両得“マインドフルネス家事”を考えてみた。

(イラスト:斉藤俊行/取材・文:安藤菜穂子)

教えてくださったのは

藤野 正寛 さん
ふじの・まさひろ
京都大学大学院教育学研究科助教。博士(教育学)。神戸大学卒業後、ヘルスケアカンパニーで経営企画管理業務に従事。10日間のヴィパッサナー瞑想コースで、瞑想がウェルビーイングを高めることを体感し退社を決意。京都大学・大学院を経て現在に至る。認知心理学的手法やMRIを用いて、瞑想の脳研究を進めている。

“マインドワンダリング”で過ごしていませんか?

何かをしているはずなのに、気づいたらスマートフォンを眺めていたり、ぼーっと考え事をしたり……。思い当たる人も多いはず。これは、心理学の用語で“マインドワンダリング”と呼ばれる状態。目の前のことに集中できず、意識がさまよって、心ここにあらず、といった状態をさします。

藤野さんは、「スマートフォンなどの情報デバイスを過度に使用している人ほど、集中力が低下し“マインドワンダリング”の状態で過ごす時間が長くなることがわかってきています」といいます。

さらに「遊びであれ、仕事であれ、家事であれ、その時にやっていることや経験していることに意識がしっかり向いている状態と比べて、“マインドワンダリング”の状態のほうが、幸福感が低いことも知られています」とも。

 

“マインドフルネス瞑想”知ってますか?

そこで、“マインドワンダリング”の状態を減らし、やっていることや経験していることに心をとどめておく力を育むためのトレーニング方法として注目されているのが“マインドフルネス瞑想”です。

「瞑想というと、“心を無にする”というイメージをもつ方も多いと思いますが、そうではなく、“その時に生じている身体感覚や、感情、思考にありのままに気づいていること”なのです。私たちは、感覚や感情に気づいていない間は、それに従って自動操縦の状態で何かをしたり、振り回されたりしていることがわかってきています。別のことでイライラしているだけなのに、その状態で子どもに接したりすることがありませんか? 感覚や感情に気づくことができれば、一呼吸おくことができ、たとえそれが怒りのような負の感情であっても、それを受け止める余裕ができるようになるのです。ここで注意したいのは、浮かんできた感覚や感情を監視するのではなく、温かい気持ちで見守ってあげることです。そうすることで、穏やかな気持ちで、マインドワンダリングの自動操縦状態から、マインドフルネスなマニュアル操縦状態に戻ることができるようになるのです。これが、幸福感を高めることがわかってきています」

 

“マインドフルネス家事”を!

この考え方を家事に応用したのが、今回ボンマルシェが提案する“マインドフルネス家事”。

たとえば、❶毎日している料理や食器洗い、掃除、洗濯。どんなことでもよいので、その中から1つだけ選んで、5分間だけそのことに集中して、心を込めてやってみましょう。もしくは、❷照明の笠や家具の上を掃除したり、鏡を磨いたり、家中のドアノブを拭いたり、洗面台の周りを整理したりと、いつもはしていないことを1つだけ見つけて、同じように5分間だけ心を込めてやってみましょう。❶は、毎日同じことをするので、それをしている自分の状態がわかりやすくなります。❷は、ふだんはしないことなので、興味をもって意識を集中しやすくなります。そしてどちらも「今ここ」に戻ってくるきっかけになります。

「どちらにも利点があるので、自分に合う方法を見つけて、毎日5分間続けてみてください。自分に合う方法の判断基準は、楽しんでできるかどうか。楽しくないと、続けられません。毎日心を込めて行うことで気づく力が育まれていきます。一般的なマインドフルネス瞑想では、訓練を続けるほど、気づく力が育まれることや幸福感が高まることが知られています」(藤野さん)。

掃除などの家事でなくとも、毎日することであれば、たとえば洗顔後のスキンケア、いつもはしないことであれば、バッグや化粧ポーチの中身を整理するなど、自分のための雑事をこの時間に充ててもよいかもしれません。溢れる情報に振り回されることなく、自分の体や心で生じていることに気づけるようになり、さらに自分自身や家がキレイになったりスッキリしたりする“マインドフルネス家事”。今日から始めてみませんか?

column「レーズン・エクササイズ」

「一つのことを心を込めて行えば、体や心に、実に色々なことが起きていることに気づきますよ」(藤野さん)

一粒のレーズンを、目を閉じて5分間かけて食べてみましょう。 レーズンを口の中に入れるまでの間にも、触っている感覚、手を動かそうという思い、手が動いている感覚、わくわくするような感情、色々なことが起きています。

レーズンを口の中に入れたら、しばらく舌で感触を確かめてみましょう。そして、噛みたいという思いが出てきたら、少しずつ噛んで味わってみましょう。味を感じた瞬間に自分の体にどんな感覚が生じるでしょうか。自分が顎や舌を動かしていることや、レーズンを飲み込むタイミングを決めていることに気づけるでしょうか。大事な点は、好奇心を持って楽しみながらやってみることです。

illustration by Akira Sorimachi