Life Style
2020.10.19

洗濯家・中村祐一さんが提案
毎日の「義務」が「心地いいこと」に変わる!

洗濯は“スローランドリー”がいい!

長野県の中村さんの自宅兼“センタクアトリエ”。4種類の洗濯機を使い、よりよい洗濯方法を研究中。

掃除・洗濯・料理。ひと昔前は「三大家事」といわれたものですが、今も、毎日を快適に暮らすための大切な家事に変わりません。でも、家電の進化の中で、時短・簡単にグンとシフトしています。「それは決して悪いことではありません。でも、特に洗濯は、洗濯機にまかせっきりではちょっと安易に流れているかも……。発想を変えて“スローランドリー”にすると、洗濯のスキルも上がり、気持ちに余裕が生まれます」と洗濯家・中村祐一さんは語ります。その、スローランドリーって? 

(構成・取材:酒井亜希子(スタッフ・オン)/監修:中村祐一)

教えてくださったのは…

中村 祐一 さん

なかむら・ゆういち 洗濯家。長野県伊那市にあるクリーニング会社「芳洗舎」の3代目。洗濯の知識をわかりやすく伝え、よりよい暮らし方を提案。“洗濯王子”の愛称で、テレビ・雑誌などメディアにも出演多数。

“スローランドリー”って、なんですか?

「僕が提案する“スローランドリー”は、『洗濯の基本を意識して、これまでより少し丁寧に洗濯をしてみよう。そうすれば衣類がスッキリきれいに洗えるだけではなく、日常生活がもっと心地よく変わる』という考え方。洗濯機頼みの“ファストランドリー”にひと手間加える洗濯法と言えるかもしれません。

僕はこれまでに、3000人を超える方々から洗濯の悩みを聞きましたが、その多くは『どの洗濯機、どの洗剤がよいの?』というものでした。でも実は、スッキリ洗えないのは洗濯機のせいではありません。“ファストランドリー”に頼りすぎだからです。

洗濯機は“すべての汚れを落としてくれる魔法の箱”ではありません。その優れた機能も、つきあい方次第。使い手が生かしてあげなければ! 料理でいえば“鍋”のようなもの。機能性に優れた鍋を使っても、おいしくするためのちょっとしたひと手間を惜しむと、仕上がりに差が出てしまうのと同じです。まずは、週に1回でも、スローランドリーを! 洗濯が“楽しい家事”に変わります」(中村さん)

中村さんがご自宅の洗濯物で解説!
スローランドリーって、こんなこと!

白物と色柄物は分けて洗う

「色柄物を洗濯すると、色素がかすかに水に移り、白い衣類を黒ずませてしまいます。1日に2回洗濯機を回すのが難しければ、白物と色柄物を分けて1日交代で。乾燥機でシワになりやすいものと、乾燥機のほうがふわっと乾くもので分けるのもおすすめ」

淡い色物なら白物と一緒でOK!

tips

  • 淡い色の衣類を一緒に洗うときは、 蛍光剤不使用の洗剤で。
  • 洗濯物の量が少ないなど、分けて洗えない場合は、白物をネットに入れて。

湿ったものは“仮干し”してから洗濯機へ

S字フックに掛ければ省スペース

「お風呂上がりのタオルや汗で湿った衣類などは、すぐに洗うか、洗う前に軽く干して水分を飛ばして。そのまま洗濯かごや洗濯機に放置しておくと、雑菌が繁殖しやすく、臭いのもとになってしまいます。湿った状態で5時間以上放置すると、雑菌の増殖速度が上がると言われています」

tips

  • 仮干しはハンガーやS字フックに掛けて空気に触れる面を広くする。

洗濯物は水面より下に!

「洗濯とは、水の中で衣類を動かし、洗剤の助けを借りて“衣類の汚れを水に移す”作業。どんなに優秀な洗濯機でも、衣類を詰め込みすぎると、水の中で衣類を十分に動かせず、汚れを移す空間が不足します。“たたき洗い”で汚れを落とすドラム式洗濯機では、“たたく”効果も不十分に。汚れが残ると、くすみや臭いのもとになります」

tips

  • タテ型洗濯機なら、全自動コースの水量より一段階上げる。
  • ドラム式洗濯機は、衣類が洗濯機の1/2程度、多くても2/3程度で。

すすぎは2回を原則に

「衣類の汚れを水に移した後、汚れた水をしっかり洗い流すのが“すすぎ”。十分でないと、せっかくきれいになった衣類に汚れが再び付着します。すすぎを1回増やしても所要時間は5~6分延びるだけ。僕は、白い衣類を洗うときに、3回すすぐこともあります。

注意したいのは柔軟剤。柔軟剤は繊維に吸着する性質があり、すすぎが1回だと衣類から出た汚れを一緒にくっつけてしまいます。すすぎは2回を原則に。また、柔軟剤の使用は、洗濯2回につき1回はお休みを」

tips

  • 洗濯機の「スピードコース」はすすぎ1回が多いので注意して。
  • 「すすぎ1回」で済ませたい場合は、柔軟剤は使わない。

汚れが気になる衣類はお湯で下洗いを

「襟ぐりやわきまわりが黄ばんだり、タオルで手をふく部分が黒ずんだりするのは、皮脂汚れが残っているから。皮脂汚れにはどんな洗剤よりもお湯が効果的ですが、お湯で洗濯機を回すのも大変なので、あらかじめつけ置き洗いを。ファンデーションや日焼け止めなど目に見える汚れは、部分洗いをしてから洗濯機へ」

しみ込んだ広範囲の汚れ→つけ置き洗い
(皮脂や汗による、黄ばみ黒ずみ・しつこい臭いなど)

40℃ぐらいのお湯に20分!

40℃程度のお湯5ℓに大さじ1程度の粉末洗剤を溶かし、衣類を入れて20分ほど置く。汚れが再び付着するのを防ぐため、つけ置きは2時間まで。その後は水気を切って、ほかのものと一緒に洗濯機で洗う。「洗剤の代わりに粉末酸素系漂白剤を溶かし、週に1回程度ルーティーンにすると予防にも」

粉末のほうが汚れが落ちやすい。

tips

  • 湯船に張った入浴前のお湯を洗いおけに取って使うのも便利。

突発的に付いた汚れ→部分洗い
(ファンデーション・日焼け止め・食べこぼしなど)

歯ブラシの背を使って・・・

汚れ部分に直接液体洗剤を付け、歯ブラシの“背”で繊維になじませる。メイクをクレンジング剤で浮かせるように30秒ほど行って、汚れが浮いてきたら40℃程度のお湯で洗い流してから洗濯機へ。ブラシ部分は繊維を毛羽立たせてしまうのでNG。布マスクのメイク汚れもこの方法で。「付いて日が浅い汚れなら、漂白剤よりこの方法がおすすめ。時間がたってしまったものは、汚れと色素を壊す漂白剤を」

tips

  • 色柄物は、洗剤を付けた部分が白光りしないよう蛍光剤不使用のもので。
    食器用洗剤でもOK。

“部屋干し”のコツ、教えてください!

「僕は一年中、部屋干し派。気候に左右されず洗濯でき、衣類を日焼けや花粉、PM2.5などからも守れます。『部屋干しすると洗濯物が生乾きで臭う』という声をよく聞きますが、臭いの原因は『部屋干し』ではなく、衣類に残っている汚れをエサとする雑菌が増えるから。スローランドリーできちんと洗えば、臭いません。洗濯物同士の間隔をあけ、換気扇やサーキュレーターなどで空気を循環させながら干せば、生乾き対策は万全です!」

「洗濯」を心地よい家事にする“スローランドリー”、日々の生活にぜひ!