夏でも“お風呂に浸(つ)かる”メリットはある!
マインドフロ(風呂)ネスで“脳を休ませる”
暑い夏のお風呂はついついシャワーだけで済ませがち。でも、湯船に浸かるのは体を温めるだけでなく、体と心を休めるためにも大切なのだとか!
そこで、お風呂での“マインドフロネス”を提唱する医師・早坂信哉先生にそのポイントを教えていただきました。
(イラスト:寺澤ゆりえ/構成・取材:赤木さと子・酒井亜希子〈スタッフ・オン〉)
マインドフロ(風呂)ネスって何?
「マインドフロネスは、何も考えずにお風呂に浸かること。気になっていることや考え事が浮かんできてもそれらを横に置いて、ぼんやりしてみてください。湯船の中でも情報に触れていると脳は働き続けます。活力を回復するためにも、大切なのは脳を休ませること。そのために、『今、ここ』に意識を向ける、マインドフルネス瞑想(めいそう)を活用します。湯船に浸かる時間を利用すると取り入れやすいんです。入浴は日常から解放されてひとりきりになれる空間だからです。また、入浴には心身をリラックスさせ自律神経を整える効果もあります。自律神経には、昼間や活動しているときに活発になる交感神経と、夜間やリラックスしているときに活発になる副交感神経があり、その切り替えがうまくいかないと心や体にさまざまな支障が生じます。温かいお湯に浸かって“無”になれると、副交感神経が優位に働いて身も心もほぐれます」(早坂先生)
教えてくださったのは…
早坂 信哉 さん
医学博士

はやさか・しんや 温泉療法専門医、東京都市大学人間科学部教授・学部長。自治医科大学医学部を卒業後、地方医療に従事。高血圧のために訪問入浴(介護サービス)を受けられない高齢者の診察をきっかけに、安全な入浴方法や、入浴が心身に与える影響を研究。その後、浜松医科大学准教授などを経て現職。お風呂について、20年間3万人以上を調査・研究している。近著に『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)。
Point 1
38~40℃の湯に肩まで浸かる
「40℃目安のお湯に浸かると副交感神経が優位になりやすいといわれています。夏は、少しぬるめの38℃くらいでもいいでしょう。また、肩まで浸かると浮力の効果が高まり、体が重力から解放されて緊張が緩みます。半身浴は温熱効果や水圧、浮力の作用が半減するので肩まで浸かりましょう。お湯に浸かってから、心と体が落ち着くまで約5分、その後5~10分程度でより意識が自分に向いてきます。最初は短時間から。慣れてきたら15分を目指してください」
Point 2
呼吸に意識を向ける
「頭の中に浮かぶ不安や考え事を横に置いておくために、深呼吸をしましょう。鼻から3秒吸って、口から5秒吐く、を3分くらい続けると気持ちが落ち着いてきます。深呼吸以外にも、バスタブのお湯が揺れる音など浴室の何か小さな音に集中してみるのもよいでしょう。深く呼吸をすることで、鼻の奥まで湯気が届いてうるおいます」
Point 3
本やスマホは持ち込まないで
「“脳を休める”ためには、お湯に浸かっている間は情報をできる限り遮断することも大切。スマホや本を浴室に持ち込むのは控えましょう。また、情報量の8割が視覚からといわれるくらい、情報は目から入ってくることが多いので、目は半開きにするのがおすすめ。目をつむると眠ってしまう危険性があるので注意を。手持ち無沙汰なら環境音楽や歌詞のない音楽など意識を覚醒させない音をBGMに」
Point 4
照明は薄暗くする
「副交感神経は薄暗い照明だと優位に働くので、浴室内の照明は消して、脱衣所の明かりをつけた状態にするくらいがちょうどよい明るさです。入浴後も、部屋の照明を少し落として過ごすと入眠がスムーズです」
Point 5
香りを取り入れる
「好きな香りは自律神経を整えてくれます。香り付きの入浴剤はもちろん、洗面器にお湯を張り、アロマオイルを数滴たらすだけでも浴室が香りで満たされます。ラベンダーやローズなどの花の香りはリラックス効果があり、レモンやグレープフルーツなどの柑橘(かんきつ)系の香りはすっきりとした気分にしてくれるのでおすすめです。入浴剤は毛細血管を拡張させて血流を促進し、疲労回復の効果も」
これから蒸し暑い季節になりますが、お風呂に浸かると、想像以上のメリットがあるかも!?この夏、“マインドフロネス”をぜひお試しください。
