1日に最低でも2回。年間で700回以上。その積み重ねを今よりもっと大切に
毎日の「歯磨き」を、見直そう!

毎日、習慣的に何げなく続けている「歯磨き」ですが、改めて見直してみると、この方法で良いの?より効果的な方法があるの?と迷いもあります。長引くマスク生活による口内環境の変化も気になるこの頃……。というわけで、歯ブラシも歯磨き粉も進化している今、より有効で、毎日無理なく続けられる磨き方のヒントを、予防歯科や歯磨き指導に尽力されているお二人の歯科医にうかがいました。
倉治ななえ先生は「よかれと思って長年続けている方法が今は逆効果ということも。また、コロナ禍の精神的ストレスや、マスクをつけることによる口呼吸の影響で唾液(だえき)量が減って虫歯が増えたという人も。こんな今こそ、効果的な歯の磨き方を改めて確認してほしい」と語ります。
高柳篤史先生は「神経質に頑張り過ぎず、"口内がスッキリして心地いい"と感じる方法や道具を見つけて、生活のリズムを整える新習慣のひとつとして、そして、リフレッシュ時間も兼ねて続けましょう」と言います。
この機会に、あなたに合った歯の磨き方に"更新"を!
(イラスト:加藤木麻莉/取材・文:赤木さと子・酒井亜希子〈スタッフ・オン〉/構成:ボンマルシェ編集部)
教えてくださったのは……
倉治 ななえ 先生
テクノポートデンタルクリニック院長

くらじ・ななえ 歯学博士。日本歯科大学附属病院臨床教授、日本フィンランドむし歯予防研究会副会長。20年以上前から予防中心の歯科医療やホームケアの指導に尽力。著書に『図解 むし歯・歯周病の最新知識と予防法』(日東書院)など。
高柳 篤史 先生
高柳歯科医院 副院長

たかやなぎ・あつし 博士(歯学)。東京歯科大学衛生学講座 客員准教授、日本大学松戸歯学部兼任講師。歯のケアを一生続けるための道具選びや磨き方などの指導に力を入れている。『セルフケア指導 脱! 誤解と思い込み』(クインテッセンス出版)監修など。
歯の磨き方も"更新どき"です
注目!アップデートTips
Tip1
歯ブラシは「磨き時間」と「磨き方のクセと目的」で選びます。
まずは、歯ブラシのヘッドの大きさ。「1本ずつ丁寧に時間をかけて磨く場合はヘッドがコンパクトなものを。短時間で効率よく磨きたいなら大きめヘッドを選ぶとよいでしょう」(高柳先生)。次にブラシの形状は「ブラシの動かし方など磨き方のクセや、重視したいのが虫歯の予防なのか歯周病の予防なのか、目的に適するブラシの形状を選びましょう。朝晩で異なるタイプのブラシを使い分けるのもおすすめです。ブラシの硬さは、"かため"だと短い時間で磨けるのですが、力を入れすぎると歯茎を傷つけやすいので要注意。"やわらかめ"は優しく磨けますが、歯磨き時間を長めにする必要があります。そのため、まずは、バランスのとれた"ふつう"を使ってみるとよいでしょう」(高柳先生)。「クリニックで磨き過ぎといわれたことがあるなら、"やわらかめ"がおすすめです」(倉治先生)。
ブラシ選びのポイントはこれ!
3分以上磨く場合、ヘッドは…
1本ずつ歯の形に合わせて丁寧に磨く方は
コンパクトなヘッドを
ヘッドの長さが2cm程度の小型の歯ブラシ。口の中で動かしやすく、歯の形に合わせて1本ずつブラッシングしやすい。
3分未満で磨く場合、ヘッドは…
効率よく磨きたい方は
幅広のヘッドを
ヘッドに6列以上の毛が植えてある横幅の広い歯ブラシ。ヘッドが大きいぶん、効率的に磨けるので、ブラッシングに時間をかけられない人におすすめ。歯の根元付近にも毛先が当たりやすい。
3分以上磨く場合、ブラシは…
時間をかけてじっくり磨く方は
極細毛を
毛先が細く加工してある歯ブラシ。歯間や歯と歯茎の間に歯ブラシの毛先が届きやすく、歯ブラシを歯面に1本ずつ合わせるのが苦手な人も磨きやすい。汚れを落とす効率は低めなので、長く磨ける人に適している。
3分未満で磨く場合、ブラシは…
特に虫歯が気になる方は
複合毛を
太さや長さなどが異なる2種類以上の毛が組み合わされている歯ブラシ。歯磨き粉の薬用成分を、歯間などに届けやすい。虫歯が気になる場合は、フッ素入りの歯磨き粉と合わせて使うのがおすすめ。
Tip2
歯ブラシは「1カ月を目安に」交換を。
1日に3回磨く想定での目安です。「ひと月も使うと、歯ブラシの毛先が摩耗したり広がったりして、磨き残しが多くなります」(倉治先生)。「もし、1カ月未満で歯ブラシの毛が広がってしまうようなら、歯磨きの方法や力加減が適切ではない可能性も。クリニックで相談してみてください。使用後はよく水洗いをして、風通しのいいところにたてかけて乾燥させましょう」(高柳先生)。
Tip3
歯磨きは「就寝前」+「毎食後すぐ」に。
歯垢(しこう)は時間が経つほどに取れにくくなります。「特に、唾液の分泌が減る就寝中は口内の菌が増殖しやすいので、夕食後は念入りに」(倉治先生)。歯磨きの回数は、「1日2回以上が目安です。そのうち1回は就寝前にしましょう。特に、朝起きた時に口のねばつきや口臭が気になる場合は、就寝前の歯みがきを丁寧に。それ以外の歯磨きは、それぞれの生活リズムに合わせたタイミングで」(高柳先生)。
Tip4
強い力で磨くのは逆効果。
「ブラシがしならない程度」の力の入れ方で。
「最近、強く磨き過ぎて歯茎が後退し、根元の柔らかい"象牙質"が削れたり、虫歯になったりするケースも増えています。毛先がつぶれないくらい軽い力で磨きましょう」(倉治先生)。ただし、歯磨きで歯垢を完璧にかき出すのは無理、と両先生。「歯周病予防のために、歯と歯茎の間の汚れを優しく取り除く。虫歯予防としてフッ素入りの歯磨き粉を、歯間や歯の溝に行きわたらせる。毎日の歯磨きではこの二つを意識してください。そのうえで、半年に1回を目安にクリニックで点検を」(高柳先生)。
Tip5
フッ素入り歯磨き粉は「1.5㎝程度」。
「歯磨き粉は少量」は一昔前の常識。フッ素入り歯磨き粉なら、「虫歯を予防し、歯の再石灰化を促すフッ素を歯にとどめるために、2分間は歯磨き粉を吐き出さずにブラッシングを。すすぎは、少量の水で1回だけにしましょう。さらに、歯磨き後、2時間程度飲食しないようにすることで、フッ素が長く口の中にとどまるので、虫歯予防に効果的です」(高柳先生)。
Tip6
歯ブラシを当てる角度は、歯に対して「直角」や「45°」が基本。
歯ブラシの角度もポイント。「特に虫歯予防には、歯の表面に対して直角。歯周病予防には45°程度に傾けて歯と歯茎の間の歯周ポケットを磨くように、細かく振動させながら磨きます。ときどき鏡で確認するのも大切。奥歯や歯の裏側は、毛束がひとつだけの"ワンタフトブラシ"で、円を描くように磨きましょう」(倉治先生)。
奥歯だけではなく、歯並びが悪い部分にも
