Life Style
2022.07.14

夏の"なんとなく疲れ"
「子午流注(しごるちゅう)」で労(いたわ)りましょう!

蒸し暑い日本の夏。思い当たる大きな原因があるわけではないけれど、いつまでも疲れがとれない、快眠できない、お腹の不調を感じがち……体は夏の負のスパイラルに陥りやすい。でも、なぜ?

その原因は、私たちの体にもともと備わっている体内時計の乱れにあるようです。体内時計と内臓の働きには深いかかわりがあるとするのが"子午流注"の考え方。夏の疲れを癒やして、元気エネルギーを生むヒントを"子午流注"に探ってみました。

(イラスト:ソリマチアキラ/取材・文:島田七瀬、酒井亜希子(スタッフ・オン)/構成:ボンマルシェ編集部)

図の監修・教えてくださったのは……

田中 友也 さん
国際中医専門員・鍼灸師・国際薬剤管理師

たなか・ともや 関西学院大学法学部卒業後、中医学の基礎を学び、現在は神戸市のCoCo美漢方薬局で多くの人の健康相談にのっている。著書に『体とココロが喜ぶごほうび漢方』(主婦の友社)など。

私も実践しています!

千國 めぐみ さん
ファッションモデル・俳優

ちくに・めぐみ 数年前に体の不調を感じて以来、根本的に体質を改善しようと漢方や東洋医学を学ぶ。漢方養生指導士や薬膳漢方検定の資格も取得。

"子午流注"は、はるか約2000年以上前の中国の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』ですでに解説され、現在も鍼灸(しんきゅう)や漢方で用いられている、中医学の考え方の一つです。"子午"は時刻、"流注"は体の中の血液や気(エネルギー)、水分の流れという意味をもっています。

下図のように、1日24時間を2時間ごとに12等分し、それぞれの時間帯に活発に働くとされる臓器、さらに、その時間帯に何をどうするべきかも指南しています。「"人間も自然の中の一部である"、"陰(静かな状態)と陽(活発な状態)のバランスが大事"という二つの考え方をベースにして、日々の体を労る知恵が詰めこまれています。2000年も前の考え方ですから、さすがに現代人がすべてを取り入れるのは難しいのですが、できることから意識して始めてみてください。夏の重だるい体が軽く、楽になったように感じられますよ」(国際中医専門員・田中友也さん)

画像を押すと拡大表示されます。

猛暑をのりきる中医学の知恵!

1~3時(肝)

熟睡することで新陳代謝がUP

「肝」は人の思考や活動を支える血液の貯蔵庫。この時間にしっかりと睡眠がとれると全身の血が肝に集中し、肝の解毒と修復機能が最大限に発揮され、新鮮な血が産出される。

3~5時(肺)

日の出とともに起き、深呼吸で体を目覚めさせて

新鮮な空気を「肺」いっぱいに取り込み、全身に酸素を送ることで、"陰陽"の"陽"=西洋医学で言うところの"交感神経"のスイッチをON! 夏こそ早起きを。

田中さんのアドバイス

「5時まで」に起きる、がマストではありません。何時でも目覚めたら、寝床の上でもいいので、グーッとのびをしながら大きな呼吸を。ゆっくり3回程度行うと目覚めもよくなります。

5~7時(大腸)

朝、1杯の白湯(さゆ)で体内の不要なものを排出

水分の吸収や排便に適した時間。寝起きに白湯を1杯飲んで「大腸」を刺激し、すっきりとしたお通じを促して。

7~9時(胃)

体を温める食事で1日の助走を開始

血流が「胃」や消化器系に集まる時間。全身が活発に動き始める時間帯なので、出来れば、フルーツだけとかスムージーのみなど体を冷やすものより、みそ汁やスープなど内臓を温めるものを。

千國さんの実践Tip

朝食はたいていおみそ汁とごはん。以前はフルーツを食べていましたが、今の和食スタイルに変えてからのほうが、体が軽くなりました。

9~11時(脾)

冷たいドリンクのガブ飲みはNG

「脾」は、消化、吸収、排泄(はいせつ)すべてをコントロールし、全身に気血を巡らせる臓器。朝食の栄養を全身に行きわたらせる時間。冷たい飲み物、食べ物は消化機能を弱らせるので控えて。

千國さんの実践Tip

朝だけではなく、飲み物は基本的に温かい台湾茶をマイボトルに入れて持ち歩いています。「体を冷やさない」という目的もありますが、シンプルにおいしいから続けています。

11~13時(心)

15~20分のパワーナップ・昼寝を!

"陽"のピークを迎え、夜に向かって"陰"が増え始める時間帯。「心」は全身に血液を運ぶ臓器であり、メンタルをも司(つかさど)るとされます。昼食後は短い昼寝をし、興奮を鎮めていくと精神が安定。人と話したり歌ったりして、体の中の熱を発散させるのも夏はおすすめ。

田中さんのアドバイス

夏の昼食の定番といえば、そうめん。体を冷やす食べものですが、しそ、みょうが、ねぎ、しょうがなど体を温める薬味をたっぷり添えるとよいですよ。食事が冷たいものなら飲み物は温かく、など"温""冷"のバランスをとる工夫を。

13~15時(小腸)

適度に水分補給を

栄養の吸収力が高まる時間。適量の水分を取って栄養の流れをスムーズにしましょう。小腹の足しにおやつを食べても。

千國さんの実践Tip

季節のフルーツを、昼食やおやつに食べています。体の余分な熱を取る作用のあるスイカや、逆に、体の冷えが気になるときは体を温める作用があるとされるさくらんぼなどを。自分の体の状態に合わせて食べます。

15~17時(膀胱)

仕事や勉強の効率がアップする

排尿には体内にこもった熱を排出する働きもあるので、トイレはガマンせずに。「膀胱」は大脳につながっていて、この時間帯は集中力が増すと考えられています。頭脳労働や、集中して頑張りたい作業や仕事はここで!

17~19時(腎)

生命エネルギーを蓄えて穏やかな夜へ

生命力を貯蔵する「腎」。エネルギーを蓄える大切な時間なので、夕食はできるだけこの時間に取り、その後はゆっくりと。 "陰"が増える時間帯なのに、逆らって活発に働き続けると腎を弱らせることに。

19~21時(心包)

お風呂でリラックス

今の西洋医学に当てはまる臓器ではないが、「心包」は「心」を包んで守る器官という考え方。気持ちが高ぶらないように、ゆっくりとお風呂につかるなど、なるべくリラックスして過ごすように心掛けて。

田中さんのアドバイス

「暑くて湯船にはつかりたくない」という場合は、足湯でも効果的です。

千國さんの実践Tip

夏はシャワーで済ませてしまうことも多いのですが、その代わりに、寝る直前まで足首を温めるレッグウォーマーをはいています。

21~23時(三焦)

"陽"のスイッチをOFF。就寝準備を

「三焦」とは、気血を全身にくまなく運んでいる臓器。この時間にヨガやストレッチなどでリラックスできると、三焦がスムーズに働き、たまった疲労をリセットしてくれる。

田中さんのアドバイス

ゆったりとしたヨガはいいですが、ジョギングや筋トレは体が興奮してしまうので、この時間帯はNG。考えごとがあっても、「明日の朝考えよう」と決めてメモをするなりして、一旦断ち切りましょう。

23~1時(胆)

23時までにはベッドへ

消化を助ける胆汁の新陳代謝が活発に行われる「胆」の時間帯。成長ホルモンも多く分泌されるので、しっかり寝ると、翌朝の目覚めもスッキリ! 中国では「一度の食事よりも子の刻(23~1時)に睡眠をとる方が大事」ということわざがあるほど。

千國さんの実践Tip

23時までに寝ると、翌日の体調がとてもいい!深い呼吸をして熟睡できるよう、ベッドに寝転んだ状態で胸を広げるヨガのポーズをとってから寝ることも。